第七十六話 百年前の研究所
ついに終焉竜研究所へ足を踏み入れたユウト達。
百年前に滅んだはずの場所。
しかしそこには、今もなお不気味な痕跡が残されていました。
ついに終焉竜研究所への扉が開かれた。
老人を先頭にユウト達は暗闇の中へ足を踏み入れる。
◇
ひんやりとした空気。
石造りの通路。
足音だけが静かに響いていた。
◇
「百年前の施設なんだよな?」
ユウトが呟く。
「あぁ」
老人は頷く。
「そのはずじゃ」
「そのはずって……」
妙な言い方だった。
しばらく進むと。
通路の先に扉が見えてくる。
レオンが警戒しながら押し開いた。
ギィィ……
重い音と共に部屋が姿を現す。
「これは……」
シエルが目を細めた。
そこは研究室だった。
◇
机。
棚。
本棚。
薬品らしき瓶。
◇
百年前の施設とは思えないほど形を保っている。
「綺麗すぎるっす」
シアが呟いた。
ユウトも同意する。
埃が少ない。
床も荒れていない。
まるで最近まで誰かが使っていたようだった。
「嫌な予感しかしないな」
レオンも険しい顔になる。
その時だった。
◇
《警告》
補佐機構が反応する。
《周辺に微量の終焉因子を確認》
◇
ユウトの背筋に冷たいものが走る。
(終焉因子……)
研究所で初めて聞く単語だった。
「どうしたの?」
シエルがこちらを見る。
「いや…なんでもない」
そう答えるしかなかった。
ふとレオンが机の引き出しを開ける。
「何かあるぞ」
中から一冊の手帳が出てきた。
革表紙の日誌。
だいぶ色褪せている。
だが保存状態は良かった。
「日誌か」
ユウトが覗き込む。
レオンが最初のページを開いた。
◇
『研究日誌 第三号』
『本日より終焉因子研究計画が正式に始動した』
『研究は順調である』
『終焉竜の力を再現できれば、人類は新たな時代へ進むだろう』
◇
「……なんだよこれ」
ユウトの背中に冷たい汗が流れる。
終焉竜の研究。
ここで危険な研究が行われていた。
最後の一文を見た瞬間、老人の表情が曇った。
『終焉竜は実在する』
短い一文だった。
しかしその文字だけ妙に力強い。
◇
「最初は皆そうだった」
老人が静かに呟く。
「最初は?」
ユウトが尋ねる。
老人は日誌を見つめたまま答えた。
「最初はただの研究だった」
「だが奴らは知ってしまったのだ」
◇
一拍。
◇
「知ってはいけないことをな」
研究室に沈黙が落ちる。
誰も言葉を発しない。
ただ、一つだけ確かなことがあった。
この研究所にはまだ何かが残っている。
第七十六話をお読みいただきありがとうございました!
研究所の探索が始まりました。
最初に見つかったのは、一冊の研究日誌。
そしてそこには、終焉竜の力を再現しようとした研究者達の記録が残されていました。
この先、彼らは何を知ってしまったのか。
それではまた次回!




