第七十五話 封じられた入口
百年前の生き残りを名乗る老人。
彼に導かれ、ユウト達はついに終焉竜研究所へと辿り着きます。
そこに待つものとは――。
どうやら廃村での出会いは偶然ではなかったらしい。
「ついて来るがよい」
老人はそう言うと歩き始めた。
ユウト達は顔を見合わせる。
「信用していいのか?」
レオンが小声で尋ねる。
「分からん」
ユウトは即答した。
「正直でよろしい」
シエルが呆れたように言う。
「でも他に手掛かりもないしな」
それも事実だった。
老人は振り返ることなく山道を進む。
足取りは不思議なほど軽い。
百年以上生きているとは思えなかった。
「じぃさん名前は?」
ユウトが尋ねる。
老人は少し考えた。
「忘れた」
「は?」
「長く生きすぎての、名を呼びあう友や家族もおらんしな。名前などどうでもよくなった」
重いのか適当なのか分からなかった。
「じゃあ何て呼べばいいんだ」
「好きに呼べ」
困る。
「じぃさんでいいか」
「よかろう」
本人が良いなら良いのだろう。
◇
やがて。
一行は山の奥へと辿り着いた。
そこには巨大な岩壁があった。
「行き止まりっすね」
シアが首を傾げる。
「あぁ」
ユウトも同意した。
どう見ても岩だ。
研究所どころか洞窟すら見当たらない。
「本当にここなのか?」
レオンが警戒を強める。
老人は何も言わない。
ゆっくりと岩壁へ近付く。
そして壁に手を触れた。
その瞬間。
◇
ゴゴゴゴゴ……
◇
地面が揺れた。
「なっ!?」
レオンが目を見開く。
岩壁が動いていた。
巨大な石の扉。
百年以上閉ざされていたはずの入口。
ゆっくりと開いていく。
暗闇が姿を現した。
その奥から冷たい風が吹き出してくる。
まるで誰かが呼んでいるようだった。
◇
《高濃度魔力反応を確認》
補佐機構が反応する。
《反応急上昇》
◇
ユウトの表情が変わった。
「感じる。間違いない。ここだ」
終焉竜研究所。
百年前の狂気が眠る場所。
「最後に聞く」
老人が振り返る。
先程までの穏やかな表情はない。
「本当に行くのじゃな?」
誰も答えなかった。
代わりにユウトが一歩前へ出る。
「ここまで来たんだ…行くに決まってる」
老人は静かに目を閉じた。
そして
「そうか」
小さく呟く。
その声はどこか寂しそうだった。
「なら覚悟せよ。この先にあるのは真実ではない……狂気じゃ」
そう言い残し老人は暗闇へと歩き出した。
ユウト達も後を追う。
ついに終焉竜研究所への扉が開かれた。
第七十五話をお読みいただきありがとうございました!
ついに終焉竜研究所の入口が姿を現しました。
百年前に封じられた狂気の場所。
この先でユウト達を待ち受けるものとは何なのか。
それではまた次回!




