第七十二話 静かな山道
終焉竜研究所の手掛かりを求め、山岳地帯へ向かったユウト達。
順調な旅路のはずでしたが、どうやらそう簡単にはいかないようです。
王都を出発して二日。
ユウト達は山岳地帯へ続く街道を進んでいた。
「平和だな」
ユウトが呟く。
「何も起きないのは良いことよ」
シエルが答える。
「そりゃそうなんだけどさ」
なんというか。
不気味だった。
王都を出てから魔物をほとんど見ていない。
普通なら歓迎するべきことだ。
だが補佐機構の反応が気になっていた。
◇
《高濃度魔力反応を継続検知》
◇
昨日からずっと表示されている。
しかも。
◇
《接近中》
◇
の文字付きだ。
「なぁシエル」
「何?」
シエルが振り返る。
「この辺って魔物少ないのか?」
その問いにレオンとシエルが顔を見合わせた。
「いや」
レオンが答える。
「本来ならもっと多いはずなのだが…」
「やっぱりか」
嫌な予感が強くなる。
何かがおかしい。
「主」
シアが小声で話しかけてきた。
「どうした?」
「静かすぎるっす」
ユウトも同じことを感じていた。
鳥の鳴き声すら少ない。
風の音だけが響いている。
まるで何かを避けているようだった。
その時。
レオンが立ち止まる。
「見えたぞ」
前方を指差した。
山の中腹に小さな集落が見える。
「あれが目的の廃村か?」
「あぁそうだ」
レオンが頷く。
「記録に残っていた村だ」
ついに辿り着いた。
終焉竜研究所へ繋がる唯一の手掛かり。
だが近付くにつれユウトは違和感を覚える。
「なんだ……?」
村は当然無人だった。
それ自体は不思議ではない。
廃村なのだから。
だが建物が綺麗すぎる。
百年以上放置されたとは思えなかった。
「誰か住んでるのか?」
ユウトが呟く。
その瞬間。
◇
《警告》
《前方に生命反応を確認》
◇
ユウトの背筋が凍る。
「生命反応?廃村のはずだろ」
◇
《反応数》
《一》
◇
全員が武器へ手を伸ばした。
そして村の中央にある井戸の上に一人の老人が立っていた。
まるで最初からそこにいたかのように。
第七十二話をお読みいただきありがとうございました!
ついに目的の廃村へ到着しました。
ですが、そこは完全な無人ではなかったようです。
果たしてあの老人は敵なのか、それとも味方なのか。
それではまた次回!




