第六十八話 救出作戦
ついに見つかった魔力汚染の核。
助ける方法も見えてきました。
ユウトたちは暴走した調査員を救うため動き出します。
王都魔導協会を後にしたユウト達は、急ぎギルド本部へ戻っていた。
「方法はあるんだな?」
ユウトが尋ねる。
「あくまで仮説だ」
エルドが答える。
「だが記録通りなら可能性はある」
それだけで十分だった。
助けられる可能性があるならやるしかない。
◇
隔離区画へ戻ると。
暴走調査員は依然として拘束されていた。
黒い霧も消えていない。
「急ごう」
レオンが短く告げる。
エルドは調査員を見る。
そして。
「やはり核があるな」
静かに呟いた。
「見えるのか?」
「僅かにな」
協会長は伊達ではないらしい。
「作戦は単純だ」
エルドが全員を見回す。
「シエル殿の力で汚染を弱める」
「核を露出させる」
「そして破壊する」
シエルが小さく頷いた。
「やるわ」
◇
その瞬間。
暴走調査員が反応した。
「グアアアアアア!!」
黒い霧が荒れ狂う。
「来るぞ!」
レオンが叫んだ。
拘束具が軋む。
今にも弾け飛びそうだった。
「シア!」
「任せるっす!」
シアが飛び出す。
拳を叩き込む。
◇
轟音。
◇
調査員の動きが止まる。
その隙に。
シエルが前へ出た。
「はぁっ!」
白い光が溢れ出す。
部屋全体を包み込むほどの光。
黒い霧が悲鳴を上げる。
◇
ジジジジジッ――
◇
霧が削られる。
浄化されていく。
「グアアアアアア!!」
絶叫。
だが今までとは違った。
胸元に黒い結晶が浮かび上がる。
「あれだ!」
ユウトが叫ぶ。
だが。
その瞬間。
レオンとエルドの表情が変わった。
「まさか……」
「やはりか……!」
エルドが目を見開く。
「知ってるのか?」
ユウトが叫ぶ。
「オーガ討伐後に回収された結晶だ!」
レオンが答えた。
ユウトの目が見開かれる。
見間違えるはずがない。
あの時。
黒い霧の発生源として回収された結晶。
ギルド本部へ送ったあの石だった。
「核だったのかよ!」
「今は説明している時間はない!」
レオンが叫ぶ。
「ユウト!」
「分かってる!」
ユウトは迷わなかった。
一気に踏み込む。
右腕を振りかぶる。
そして。
「終われ!」
拳が黒い結晶を貫いた。
◇
パリン――
◇
乾いた音が響く。
次の瞬間。
黒い霧が一斉に崩壊した。
「なっ!?」
レオンが目を見開く。
霧が消えていく。
まるで最初から存在しなかったかのように。
同時に。
黒い結晶も砂のように崩れ去っていった。
「やはり……」
エルドが険しい顔で呟く。
「知っているのか?」
「完全な確証はない」
エルドは首を振る。
「だが、その結晶こそ今回の事件の始まりだ」
やがて。
静寂が訪れた。
調査員の身体から力が抜ける。
ゆっくりと崩れ落ちた。
「おい!」
レオンが駆け寄る。
調査員は苦しそうに目を開いた。
だが。
その瞳は黒くない。
元の色へ戻っていた。
「副……長……」
かすれた声だった。
レオンの表情が崩れる。
「馬鹿野郎」
「無事で……よかった」
調査員は弱々しく笑った。
そして。
「結晶……」
小さく呟く。
「結晶?」
レオンが身を乗り出した。
「調査していたら……」
「突然……声が……」
調査員の身体が震える。
「声?」
ユウトが尋ねる。
調査員は震える唇を動かした。
「黒い……ローブの男が……」
部屋の空気が凍り付いた。
第六十八話をお読みいただきありがとうございました!
暴走した調査員の救出に成功しました!
そしてオーガ事件で回収された結晶が、今回の事件にも深く関わっていたようです。
黒いローブの男とは一体何者なのか。
それではまた次回!




