第六十七話 終焉竜
百年前の禁忌研究者達。
そして終焉竜という存在。
少しずつですが、事件の全体像が見え始めてきました。
エルドはしばらく黙り込んでいた。
そして。
「まず確認しておこう」
ゆっくりと口を開く。
「君たちは終焉竜についてどこまで知っている?」
ユウトは考える。
数秒後。
「何も知らん!」
正直に答えた。
エルドが頷く。
「正直でよろしい」
褒められた。
褒められたのだろうか。
「一般に伝わる終焉竜は災厄の象徴だ」
エルドは語り始める。
◇
「世界を滅ぼした竜」
「全てを終わらせる存在」
「歴史上最悪の魔物」
◇
嫌な言葉ばかりだった。
「怖いっすね」
シアが呟く。
「そうね」
シエルも頷く。
「そうだな」
ユウトも頷いた。
本人だった。
「だが妙なことがある」
エルドの声が低くなる。
「百年以上前の禁忌研究者達も終焉竜を追っていた」
「なんでだ?」
「分からん」
エルドは首を振る。
「記録が失われている」
やはりそこに戻る。
「だが、奴らが終焉竜に執着していたことだけは確かだ」
部屋が静まり返る。
「それだけ危険ってことか」
レオンが呟く。
「あるいは」
エルドの目が細くなる。
「別の理由かもしれん」
その時だった。
「そういえば」
レオンが何かを思い出したように顔を上げる。
「終焉竜に関する報告が一つあったな」
エルドが顔を上げる。
「何?」
「数ヶ月前だ」
レオンは腕を組む。
「王都調査隊から報告があった」
「真偽不明だが、終焉竜の幼体らしき存在を確認したと」
ユウトの心臓が止まりそうになった。
(俺じゃね?)
嫌な汗が流れる。
シアも固まっていた。
(主っすよね?)
顔に書いてあった。
シエルは無言だった。
だが。
絶対に気付いている。
「その後どうなった?」
エルドが問う。
「消息不明だ」
レオンが答える。
「回収された報告書も一部だけだった」
エルドの表情が険しくなる。
「まさか……」
小さく呟いた。
「何か知ってるのか?」
ユウトが尋ねる。
エルドは少し考え込む。
そして。
「仮に終焉竜が生きているとしよう」
全員が耳を傾ける。
「それを最も欲しがるのは誰だと思う?」
嫌な予感しかしなかった。
「禁忌研究者か?」
レオンが答える。
「その通りだ」
エルドは頷く。
「終焉竜は災厄の象徴」
「だが奴らにとっては違う。究極の研究対象だ」
空気が冷える。
「つまり」
シエルが呟く。
「もし終焉竜が見つかったなら」
「いかにも」
エルドが静かに頷いた。
「奴らは必ず動く」
ユウトは無意識に拳を握りしめていた。
どうやら思っていた以上に面倒なことになっているらしい。
第六十七話をお読みいただきありがとうございました!
終焉竜は思っていた以上に有名でした。
そして思っていた以上に危険視されていました。
なお本人は初耳でした。
それではまた次回!




