第六十六話 王都魔導協会
消された記録。
残された紋章。
ユウトたちは新たな手掛かりを求め、王都魔導協会を訪れるのでした。
ユウトたちは王都魔導協会へ向かっていた。
目的は一つ。
あの紋章について調べることだ。
「しかし」
ユウトは目の前の建物を見上げた。
「ここもまたでかいなぁ」
王都へ来てからそればかり言っている気がする。
だが仕方ない。
本当にでかいのだから。
「王都の施設は大体こんなものよ」
シエルが言う。
「慣れって怖いっすね」
シアがしみじみ頷いた。
三人は建物の中へ入る。
受付にはローブ姿の女性がいた。
「ご用件は?」
レオンが前へ出る。
「ギルド本部副長レオンだ」
身分証を見せる。
女性の表情が変わった。
「少々お待ちください」
そのまま奥へ消えていく。
「顔パスじゃないんだな」
「顔パスってなんだ?」
「・・・なんでもない」
◇
数分後。
一人の老人が現れた。
長い白髪。
深い皺。
だが目だけは鋭い。
「私は魔導協会長のエルドだ」
「協会長!?」
ユウトが驚く。
いきなりトップが出てきた。
「レオン殿から話は聞いた」
エルドは静かに頷く。
「例の紋章を見せていただきたい」
保管庫で写した記録を手渡す。
エルドはそれを見る。
そして。
表情が消えた。
「どうしました?」
レオンが問う。
エルドは答えない。
◇
数秒の沈黙。
やがて。
「どこでこれを見つけた」
低い声だった。
部屋の空気が変わる。
ユウト達は顔を見合わせた。
「ご存じなんですね?」
レオンが言う。
「あぁ」
エルドは頷いた。
そして。
「その紋章は魔導協会のものではない」
「え?」
ユウトが固まる。
「だが、かつて魔導協会から追放された者達が使っていた」
部屋が静まり返った。
「追放?」
「百年以上前のことになるな…」
エルドが続ける。
「禁忌研究に手を出した者達がいた」
「禁忌研究……」
◇
「生命操作」
「精神汚染」
「魔物化実験」
◇
嫌な単語ばかりだった。
「当然、協会は彼らを追放した」
エルドの目が細くなる。
「だが全員捕らえられたわけではない」
嫌な予感がした。
かなり。
「まさか」
ユウトが呟く。
「生き残りがいるのか?」
エルドは首を振る。
「本人達はもういないだろう…」
「だが、思想は残る」
その言葉に。
シエルの表情が険しくなった。
「弟子……あるいは後継者」
「左様」
エルドが頷く。
「そして私は一つ気になることがある」
協会長の視線がユウトへ向く。
「君だ」
「俺?」
「その調査員は何と言った?」
嫌な予感しかしなかった。
「終焉」
ユウトは答える。
「見つけたって言ってた」
その瞬間。
エルドの顔色が変わった。
レオンも気付く。
「知っているのか?」
エルドはゆっくりと椅子へ腰を下ろした。
そして。
「話が長くなる。覚悟して聞け」
そう静かに告げた。
第六十六話をお読みいただきありがとうございました!
魔導協会は敵ではありませんでした。
ですが、過去には問題を起こした研究者達がいたようです。
そして協会長エルドは何かを知っているようでした。
それではまた次回!




