第六十五話 消された真実
百年以上前の記録。
そこには今回の事件と酷似した内容が残されていました。
ですが、どうやら誰かに知られたくない真実もあるようです。
保管庫には静寂が広がっていた。
誰もが切り取られたページを見つめている。
「しかしこれどう思う?」
ユウトが尋ねる。
「偶然じゃないわね」
シエルが即答した。
「重要な部分だけが消えている」
「あぁ」
レオンも頷く。
「しかも一箇所じゃない」
ページをめくる。
すると。
別の場所も切り取られていた。
「徹底してるな」
ユウトが顔をしかめる。
まるで知られたくない何かを隠しているようだった。
「でも一つ分かるっす」
シアが言う。
「何がだ?」
「誰かが困るってことっす」
全員が黙った。
確かにその通りだった。
隠す理由がある。
つまり知られると困る誰かがいる。
「ちゃんとそういうことも考えられるんだな」
「失礼っす!」
シアが抗議した。
その時。
レオンが本を閉じる。
「もう一つ気になることがある」
「何だ?」
「この本だ」
表紙を指差す。
「百二十七年前の記録だ」
「それがどうかしたか?」
「だが」
一拍。
「記録が切り取られたのは最近だ」
「は?」
ユウトが目を見開く。
「なんでそう思うんだ?」
「紙の色が違う」
レオンは切断面を示した。
「数十年前じゃない」
「もっと新しい」
部屋の空気が変わった。
百年前の事件ではない。
誰かが最近になって消した。
「つまり」
シエルが呟く。
「今も関係者がいる可能性がある」
「そういうことだ」
レオンの表情は険しかった。
その時だった。
補佐機構が反応する。
◇
《関連情報を検索》
◇
また仕事してる。
最近本当に働き者だった。
そして新たな文字が表示される。
◇
《記録内に未解析紋章を確認》
◇
「紋章?」
ユウトはページを見返す。
確かに端の方に小さな印が描かれている。
今まで気付かなかった。
「なぁレオン」
「なんだ?」
「これ何か分かるか?」
レオンは紋章を見る。
そして僅かに目を見開いた。
「これは……」
珍しく言葉が止まる。
「知ってるのか?」
「いや」
レオンは首を振った。
「正確には知らん。だが見たことはある」
嫌な予感がした。
「どこでだ?」
レオンは静かに答える。
「王都魔導協会だ」
部屋が静まり返った。
ユウト達はまだ知らない。
その名前が後にこの事件の核心へ繋がることを。
第六十五話をお読みいただきありがとうございました!
百年前の事件は偶然ではなさそうです。
しかも記録は比較的最近になって消された可能性が出てきました。
そして補佐機構がまた仕事をしました。
それではまた次回!




