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転生したら最強種だけどレベルが最弱でした。  作者: マッティー


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第六十四話 百年前の記録

 暴走した調査員を救うため。


 ユウトたちはわずかな手掛かりを求めて動き始めます。


 そして、その先で思わぬ記録を目にすることになるのでした。

 補佐機構の表示が消える。



 《外部からの補助が必要》



 その一文だけが頭に残った。


「補助ってなんだよ……」


 ユウトが呟く。


 その時だった。


「グアアアアアアア!!」


 暴走した調査員が再び暴れ始める。


 黒い霧が溢れ出した。


「まずい!」


 レオンが叫ぶ。


「拘束隊を呼んでくる!しばらく任せていいか!?」


「任せておけ!」


 レオンが走り出す。


 だが。


 到着を待っている余裕はない。


「シエル!」


「分かってる!」


 白い光が溢れ出す。


 シエルが再び調査員へ触れた。



 ジジジジジッ――



 黒い霧が削られていく。


「グアアアアア!!」


 絶叫。


 だが先程より勢いが弱い。


 調査員の身体が震える。


 黒い霧が不安定になった。


「今だ!」


 後方からレオンが叫ぶ。


 ちょうどその時援軍が到着した。


 十名を超える本部冒険者。


 全員が即座に動く。


「拘束開始!」


 新たな鎖が撃ち込まれる。


 腕。


 脚。


 胴体。


 次々と固定されていく。


「グルルルル……」


 暴れようとする。


 だがシエルの不思議な力によって弱まった今なら押さえ込める。


 数分後。


 暴走調査員は再び完全拘束された。


 レオンが安堵の息を吐く。


「間に合ってよかった」


「完全には止められないわ」


 シエルが額の汗を拭う。


「せいぜい一時的ね」


「それで十分だ」


 レオンは頷いた。


「時間を稼げた」


 そして。


「今のうちに保管庫へ向かうぞ」


 ユウトが調査員を見る。


 黒い霧はまだ消えていない。


 だが先程より明らかに薄い。


「助かるんだよな?」


 レオンは振り返らない。


「助けるために行くんだ」


 その言葉に迷いはなかった。


 こうして三人はレオンに連れられ本部保管庫へ向かう。


 大量の書物が並ぶ空間。


「うわ……」


 ユウトは思わず顔を引きつらせた。


「これ全部本か?」


「安心しろ」


 レオンが即答する。


「記録のある本は覚えている」


「助かった」


 心の底からそう思った。


 レオンは奥の棚から古びた一冊を取り出す。


「これだ」


 表紙は色褪せている。


 かなり古い。


「百二十七年前の記録」


 ページを開く。


 そこには。


 黒い霧。


 異常な再生能力。


 理性の喪失。


 今回の事件と酷似した記録が残されていた。


「同じだな」


「あぁ」


 だが次のページを開いた瞬間。


「ん?」


 シアが声を上げる。


 ページが切り取られていた。


 しかも数枚ではない。


 ごっそりと。


「誰かが消したのか?」


「分からん」


 レオンも首を振る。


「俺が見た時には既にこうなっていた」


 重要な部分だけが失われている。


 まるで意図的に。


 その時。


「これっす」


 シアが別のページを指差した。


 そこには。


 巨大な白銀の竜が描かれていた。


 翼を広げ黒い霧を光で祓っている。


 その下には短い文章。



 ――聖なる白銀の竜は災厄を祓う。


 ――その光は穢れを浄化する。



 部屋が静まり返った。


 三人の視線がゆっくりとシエルへ向く。


「なによ」


 シエルが嫌そうな顔をした。


 ユウトは挿絵を見る。


 シエルを見る。


 もう一度挿絵を見る。


「いや……なんか見覚えがあるなって」


「気のせいよ」


 即答だった。


「絶対気のせいじゃないっす」


「気のせいよ」


 頑なだった。


 だがユウトは確信していた。


 この事件とシエルには何らかの繋がりがある。

 第六十四話をお読みいただきありがとうございました!


 百年以上前にも似た事件が起きていました。


 しかも記録の一部は何者かによって失われています。


 そしてシエルは今回も気のせいと言い張っています。


 それではまた次回!

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