第六十三話 浄化の光
シエルの力は確かに魔力汚染へ効果を示しました。
ですが、それだけでは足りないようです。
どうやら事件は思った以上に根深いようでした。
暴走した調査員は苦しみ続けていた。
黒い霧が身体から噴き出している。
「おそらく時間がないわ!やるなら今ね」
シエルが言う。
レオンも頷いた。
「必要なことがあれば言え」
「じゃあ暴れたら止めて」
「了解した」
シエルは瞬く間に調査員へ近付く。
黒い霧が反応する。
まるで警戒しているようだった。
「グルルルル……」
調査員の喉から唸り声が漏れる。
だがシエルは止まらない。
そのまま胸へ手を当てた。
瞬間。
◇
白い光が溢れ出す。
◇
「なっ……!」
レオンが目を見開いた。
黒い霧が音を立てて消えていく。
◇
ジジジジジッ――
◇
まるで焼かれているようだった。
「グアアアアアア!!」
調査員が絶叫する。
部屋全体が震えた。
「やっぱりか!効いてる!」
ユウトが叫ぶ。
だが次の瞬間だった。
◇
ドクン――
◇
胸の奥で何かが脈打つ。
黒い霧が一気に噴き出した。
「っ!?」
シエルが弾き飛ばされる。
「シエル!」
ユウトが駆け寄る。
「大丈夫よ」
立ち上がる。
だが顔色は良くない。
「効いてるのは間違いない」
一拍。
「でも核まで届かない」
その言葉に空気が重くなる。
やはり簡単ではない。
その時補佐機構が反応した。
◇
《追加解析を開始》
◇
「またか」
最近働き者だった。
そして新たな表示が現れる。
◇
《聖属性エネルギーを確認》
《対象との適合率を計測》
《適合率87%》
◇
「高っ」
思わず声が出た。
「何か分かったの?」
シエルが尋ねる。
「いや……」
説明できない。
だが補佐機構の解析はまだ続いていた。
そして最後の一文が表示される。
◇
《不足エネルギーを確認》
《外部からの補助が必要》
◇
「補助ってなんだよ?」
ユウトが呟く。
その瞬間。
レオンが何かを思い出したように顔を上げた。
「待て」
全員の視線が集まる。
「本部の保管庫に似た記録があったはずだ」
「記録?」
「あぁ」
レオンは頷く。
「百年以上前の資料だ。魔力汚染と呼ばれていたかは分からん」
「だが」
一拍。
「似た症状の記録が残っている」
ユウト達は顔を見合わせた。
この事件思ったよりずっと根が深いのかもしれない。
第六十三話をお読みいただきありがとうございました!
シエルの力は有効でした。
でも決定打にはなりませんでした。
そしてレオンが重要そうな資料を思い出しました。
それではまた次回!




