第六十一話 救う方法
暴走した調査員との対面。
状況は思っていた以上に深刻でした。
それでも、まだ希望は残っているようです。
黒い霧が揺らめく。
◇
暴走した調査員は苦しそうに唸っていた。
「グルルルル……」
もはや人の声ではない。
だがシエルが触れた瞬間だけ確かに反応が変わった。
「シエル」
「えぇ」
ユウトが言う前に理解していた。
「効いているわね」
黒い霧は薄くなっていた。
ほんの僅かだが確実に。
「なら何度もやれば」
「そう簡単じゃないっす」
シアが首を振る。
「見てほしいっす」
視線の先、薄くなった黒い霧が再び集まり始めていた。
「戻ってる……」
ユウトが眉をひそめる。
「根本をどうにかしないと駄目ね」
シエルも同意した。
その時。
「頼む」
レオンが頭を下げた。
「え?」
ユウトが固まる。
本部副長だ。
そんな人物が頭を下げた。
「助けてやってくれ」
静かな声だった。
「アイツは優秀な調査員だった」
一拍。
「新人の面倒見も良かった」
レオンは拳を握る。
「こんな終わり方をさせたくない」
その表情を見てユウトは理解した。
レオンは部下としてだけじゃない。
一人の人間として助けたいのだ。
「分かった」
ユウトは頷く。
「やれるだけやる」
「恩に着る」
その時だった。
暴走した調査員の身体が震える。
黒い霧が激しく揺らぐ。
◇
「グアアアアアア!!」
◇
苦しそうな叫び。
そして。
一瞬だけ男の瞳に光が戻った。
「た……すけ……」
部屋が静まり返る。
レオンの目が見開かれる。
「今……」
「あぁ確かに聞こえたな」
ユウトが答える。
間違いない。
まだ残っている。
この人はまだ完全には飲み込まれていない。
「まだ助けられる」
ユウトは男を見る。
「絶対に…」
その瞬間だった。
補佐機構が反応する。
◇
《対象を再解析》
◇
見慣れた文字が並ぶ。
そして新たな表示が現れた。
◇
《魔力汚染核を確認》
◇
「核?」
ユウトが呟く。
さらに表示が続く。
◇
《汚染源の除去を推奨》
《位置を特定中》
◇
ユウトの目が見開かれた。
初めてだった。
補佐機構が明確な解決策を示したのは。
第六十一話をお読みいただきありがとうございました!
調査員はまだ完全には飲み込まれていませんでした。
そして補佐機構が珍しく仕事をしています。
それではまた次回!




