第六話 終焉竜、古代遺跡に歓迎される
第六話です!
地下遺跡編スタート。
少しずつ世界観も広がっていきます!
地下神殿の奥。
巨大な“何か”が、ゆっくり目を開いた。
ゴォォォォォ……。
重々しい振動が空間全体へ広がる。
「……うそだろ」
ユウトは思わず後ずさった。
だが。
ズシン。
ズシン。
「うわっ!?」
巨大すぎて、自分の足音の方がうるさかった。
静かに逃げられない。
終焉竜、隠密適性ゼロである。
神殿奥の影が、ゆっくり姿を現す。
黒い外殻。
赤く発光する紋様。
四本脚の巨体。
そして眼球のない頭部。
「……ドラゴン?」
いや、違う。
生物感がない。
まるで巨大な石像が、そのまま動き出したようだった。
その存在はユウトを見つめるように顔を向ける。
直後。
《終焉因子反応確認》
《個体識別:終焉竜ヴァルグレイア》
《認証完了》
「認証?」
次の瞬間。
巨大な存在が、ゆっくり頭を下げた。
「…………へ?」
地下神殿全体へ、低い振動音が響く。
まるで歓迎しているようだった。
「え、なにこれ怖い」
完全にホラー空間なのに、なぜか礼儀正しい。
ユウトは困惑した。
すると壁面の紋様がさらに赤く光り始める。
古代文字が空中へ浮かび上がった。
そして、それをユウトは自然に読めてしまう。
《継承者確認》
《終焉竜領域への接続を開始します》
「……継承者?」
意味が分からない。
そもそも自分は元不動産営業だ。
継承した覚えがない。
だが、遺跡はそんなユウトの事情など気にせず起動を続けていく。
ゴゴゴゴゴ……。
神殿奥の床が動いた。
巨大な円形陣が姿を現す。
その中央には、黒い結晶のようなものが浮かんでいた。
「なんか絶対重要なやつだよなこれ……」
嫌な予感しかしない。
しかし同時に、妙な感覚もあった。
――近づきたい。
終焉竜の本能なのか。
結晶から漏れる魔力に、身体が引き寄せられる。
ユウトは恐る恐る近づいた。
すると。
ブワッ――!!
黒い魔力が周囲へ噴き上がった。
「うおぉぉぉっ!?」
視界が真っ黒に染まる。
直後。
大量の映像が頭の中へ流れ込んできた。
◇
燃えていた。
世界が。
巨大な竜たちが空を覆っている。
炎。
雷。
崩壊する大地。
泣き叫ぶ人々。
そして。
空を裂くほど巨大な、黒い竜。
「……これ」
終焉竜。
本能で分かった。
あれが、この世界で恐れられている存在。
その時。
映像の中の黒竜が、ゆっくりこちらを見た。
赤い瞳。
圧倒的な威圧感。
そして。
――守れ。
「……え?」
次の瞬間。
映像が途切れた。
◇
「はぁっ……!!」
ユウトは弾かれるように目を開いた。
息が荒い。
心臓がうるさい。
「なんだ今の……」
ただの記憶じゃない。
感情まで流れ込んできた。
怒り。
悲しみ。
そして。
“守りたい”という感覚。
「終焉竜って……世界滅ぼす側じゃないのか?」
人類は恐れていた。
災厄だと叫んでいた。
でも、さっき見た感情は違った。
あれは。
何かを守ろうとしていた。
「……分かんねぇ」
情報が足りない。
するとその時。
頭の中に再び声が響く。
《継承率上昇を確認》
《スキル《人化》解放条件の一部を達成しました》
「おっ!」
ユウトは思わず顔を上げた。
かなり進んでいる。
あと少しかもしれない。
その時だった。
ゴゴゴゴゴ……。
地下神殿が再び揺れ始めた。
「……え?」
振動は上から来ていた。
まるで。
何か巨大なものが近づいてくるような。
直後。
ドォォォォォン!!
天井の一部が吹き飛んだ。
「うわぁぁぁ!?」
瓦礫が降り注ぐ。
土煙の向こうから、巨大な影が現れた。
漆黒の鱗。
赤い瞳。
そして圧倒的威圧感。
「黒竜!?」
ユウトは思わず声を上げる。
だが、次の瞬間。
その背後から、さらに別の影が降り立った。
白銀の鎧。
巨大な槍。
そして、背中から伸びる純白の翼。
「……え?」
女だった。
銀髪の少女が、静かにユウトを見下ろしている。
そして次の瞬間。
「終焉竜が……二体?」
少女の瞳が、大きく見開かれた。
黒竜再登場、そして新キャラ登場回でした。
次回から少しずつ“ドラゴン側の世界”にも触れていければと思います!
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