第五話 終焉竜、共闘する(戦力外)【修正】
第五話です!
終焉竜、共闘したつもりですがほぼ事故でした。
洞窟入口付近では、爆炎と怒号が飛び交っていた。
『グォォォォォォォ!!』
黒竜の咆哮が響く。
その度に空気が震え、岩壁が砕け、人間たちが吹き飛ばされていく。
「左翼側から回れ!!」
「近づくな! ブレスが来るぞ!!」
「魔導隊、第二射準備!!」
完全に戦争だった。
ユウトはそんな光景を見ながら、ゴクリと唾を飲み込む。
「……やっぱ帰っていい?」
怖かった。
めちゃくちゃ怖かった。
というか、自分だけ世界観が違う気がする。
黒竜は完全に“伝説の災厄”だった。
対して自分は。
「火の粉しか出ねぇんだよなぁ……」
終焉竜とは。
その時だった。
黒竜が討伐隊を吹き飛ばした隙に、一人の騎士が洞窟内へ踏み込んできた。
「いたぞ!! もう一体だ!!」
銀色の鎧。
大剣持ち。
明らかに強そうだった。
騎士はユウトを見るなり顔を強張らせる。
「黒い……!」
「えっ」
「終焉竜の幼体だ!!」
「だから幼体ってなんだよ!!」
『グルァァァ!!』
「くそっ、また威嚇になった!!」
騎士が剣を構える。
ユウトは慌てて後ずさった。
「待って待って待って! 俺そんな強くないから!」
もちろん伝わらない。
すると騎士の後方から声が飛ぶ。
「下がれ!!」
「え?」
次の瞬間。
ズドォォォォォン!!
巨大な炎が騎士の横を通り抜けた。
「うわぁぁぁ!?」
黒竜のブレスだった。
騎士が吹き飛ばされる。
「えっ、助けた?」
黒竜はユウトを庇うように前へ出る。
その巨大な背中を見て、ユウトは少しだけ息を呑んだ。
「……かっけぇ」
本当に強い。
しかも多分、優しい。
すると黒竜が振り返った。
『グル』
「え?」
ぐいっ。
また押された。
「だから逃げろって!?」
黒竜は短く唸る。
その時、ユウトの頭の中へ再び感覚が流れ込んできた。
――弱い。
――守る。
――死ぬ。
「うっ……」
なんとなくだけど分かる。
黒竜は、自分を逃がそうとしている。
今のユウトでは戦場に立てないと分かっているのだ。
「……でも」
助けられている。
それなのに逃げるだけっていうのは、なんか嫌だった。
「俺だって少しくらい……!」
ユウトは大きく息を吸い込む。
胸の奥に熱が溜まる。
まだ火の粉しか出ない。
でも、今までより少しだけ感覚が分かる。
「いけぇぇぇ!!」
ボッ!!
小さな火球が飛んだ。
前よりデカい。
ちゃんと火球っぽい。
「おっ!?」
ユウトは少し感動した。
だが。
火球は討伐隊ではなく、洞窟壁面へ直撃した。
ドゴォン!!
「あっ」
嫌な音がした。
岩壁にヒビが走る。
天井が揺れる。
黒竜がこちらを見た。
「……えへ」
『グルァァァァ!!』
「ごめんなさいぃぃぃ!!」
次の瞬間。
バキバキバキッ!!
洞窟天井が崩れ始めた。
「崩れるぞ!!」
「退避!!」
「まずい!!」
人間側もパニックになる。
黒竜は咄嗟に翼を広げた。
ユウトを庇うように。
「うおっ!?」
轟音。
土煙。
落石。
洞窟全体が崩れ始める。
「やばいやばいやばい!!」
ユウトは必死に走った。
だが。
ズルッ。
「またぁ!?」
滑った。
しかも今度は、崩れた地面ごと。
ゴゴゴゴゴ――!!
「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
床が抜けた。
巨大な身体が、そのまま地下深くへ落下していく。
真っ暗な奈落。
何も見えない。
「黒竜ぅぅぅぅ!!」
落ちながら叫ぶ。
一瞬だけ、上に黒竜の姿が見えた。
そして。
『グル』
どこか安心させるような、短い唸り声。
次の瞬間。
ドォォォォォン!!
ユウトは地下深部へ叩き落とされた。
◇
「いっっったぁぁぁぁ……」
どれくらい気絶していたのか分からない。
ユウトは瓦礫の中で目を覚ました。
全身が痛い。
でも生きていた。
「ドラゴン頑丈だな……」
起き上がろうとして、ふと周囲を見る。
「……え?」
そこは今までの洞窟とは違っていた。
広い。
異様なほど広い。
そして。
壁一面に、巨大な紋様のようなものが刻まれていた。
黒い柱。
崩れた石像。
見上げるほど巨大な建造物。
まるで地下神殿だった。
「なんだここ……」
その時だった。
ユウトの身体から、微かに黒い魔力が漏れる。
直後。
ゴォォォォォ……。
遺跡全体が低く唸り始めた。
「……えっ」
壁の紋様が、赤く発光する。
空気が震える。
そして次々と古代文字のようなものが浮かび上がった。
不思議なことに。
ユウトには、それが読めた。
《終焉因子を確認》
《継承資格を照合》
《古代竜文明領域、起動》
「……は?」
次の瞬間。
地下神殿の奥で、巨大な何かがゆっくり目を開いた。
地下遺跡編スタートです!
少しずつ終焉竜や古代竜文明の謎も出していければと思います。
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