第五十八話 王都へ
王都からの緊急依頼。
ユウトたちは初めて王都へ向かいます。
そして、シエルは少しだけ嫌な予感がしていました。
王都へ向かう馬車は順調に進んでいた。
◇
「主…暇っす」
シアが言った。
「まだ出発して三十分だぞ」
「暇っす」
どうやら変わらないらしい。
シアは窓から外を眺める。
◇
森。
草原。
たまに村。
◇
確かに代わり映えはしない。
「王都ってどんなところなんだ?」
ユウトが尋ねる。
「大きいわよ」
シエルが答える。
「相変わらず雑だな」
「人も多いし、店も多いわ」
「肉も多いっすか?」
「…多いんじゃないかしら」
「王都最高っす!」
まだ着いてもいない。
気が早かった。
その後も馬車は進み続ける。
途中、小さな街で休憩を挟み再び王都を目指した。
◇
そして。
「お前ら、見えてきたぞ」
御者の声が響く。
ユウトは窓から顔を出した。
「おぉ……」
思わず声が漏れる。
巨大な城壁。
その向こうに広がる街並み。
今まで見たどの街よりも大きい。
「マジででかいな!」
「王都っす!」
シアも興奮していた。
◇
やがて馬車は門を通り。
王都へ入る。
人。
人。
人。
見渡す限り人だった。
「すげぇ……」
ユウトが辺りを見回す。
その時だった。
「ん?」
一人の冒険者が足を止めた。
視線の先。
シエルだった。
「おい」
男が仲間を呼ぶ。
「どうした?」
「あれ……」
男は目を細める。
「まさか」
そして。
「瞬天じゃないか?」
その言葉に。
周囲の空気が僅かに変わった。
「え?」
「瞬天?」
「本物か?」
「王都を出たって聞いたぞ」
ざわざわと声が広がっていく。
ユウトとシアは顔を見合わせた。
「瞬天?」
「瞬天っす?」
二人とも知らない。
だが当の本人は。
「・・・気のせいよ」
平然と歩き続けていた。
「いや絶対本人だろ!」
後ろから声が飛ぶ。
しかしシエルは振り返らない。
「おい!瞬天って誰なんだ?」
ユウトが尋ねる。
「知らなくていいわ」
「気になるじゃねーかよー」
「知らなくていいのよ」
頑なだった。
シアがニヤニヤし始める。
「瞬天っすか〜」
「やめなさい」
「瞬天っす!」
「本当にやめなさい」
シエルの額に青筋が浮かぶ。
どうやら本当にその呼び名が嫌らしい。
そんな三人を街角の影から見つめる者がいた。
◇
黒いローブ。
その男は静かに呟く。
「対象確認」
視線はユウトへ向けられていた。
「終焉反応を確認」
男は懐から小さな魔道具を取り出す。
そして。
「王都へ到着しました」
誰かへ報告を送った。
静かに。
確実に。
何かが動き始めていた。
第五十八話をお読みいただきありがとうございました!
ついに王都へ到着しました!
シエルの通り名もバレました。
本人は認めていません。
それではまた次回!




