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転生したら最強種だけどレベルが最弱でした。  作者: マッティー


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第五十七話 緊急依頼

 黒い結晶は王都のギルド本部へ送られました。


 これでひと安心。


 ……だと思っていました。

 翌日。



 ユウトたちは冒険者ギルドへ呼び出されていた。


「何かあったのか?」


 受付へ向かうと。


 フィーナの表情は珍しく硬かった。


「実は……」


 嫌な予感がした。


 最近嫌な予感が当たる。


「先日送った結晶なんですが」


 やっぱりそれか。


「本部へ到着したそうです」


「おう!よかったじゃない!」


「そして」


 一拍。


「事件が起きました」


「ですよねぇ」


 何故か驚かなかった。


「ですよねぇって、もっと驚いてくださいよ」


 フィーナにツッコまれた。


「最近そういう流れが多いんだよ」


 慣れとは恐ろしい。


「それで?」


 シエルが先を促す。


「結晶の調査を担当していた職員が暴走しました」


 空気が変わる。


「暴走?」


「はい」


 フィーナは頷く。


「突然理性を失ったようになり、複数の職員を襲ったそうです」


「死者は?」


「幸い死者は出ていません」


 それは良かった。


「ですが」


 フィーナの声が重くなる。


「現在も鎮圧できていません」


「は?」


 ギルド本部だ。強い冒険者だっているはず。


「本部の冒険者が対応しています」


「それなのになんでだよ?」


「異常な再生能力が確認されたそうです」


「!」「!」「!」


ユウト達は顔を見合わせた。



 オーガ。


 黒い霧。


 嫌な記憶が蘇る。



「あの時と同じじゃないか?」


「おそらく」


 シエルも頷く。


 その時だった。


「その通りだ」


 低い声が響く。


 奥の部屋から現れたのは。


 ギルド長ダンだった。


「ダンさん」


「よう!励んでるか?」


 ダンは軽く手を上げる。


 だが表情は真剣だった。


「話は聞いていた」


 どうやら最初から奥で聞いていたらしい。


「今回の件はこの街だけの問題じゃねぇ」


 ダンは依頼書を机へ置く。


 そこには。



 【特別調査依頼】



 そう書かれていた。


「本部からの正式依頼だ」


「俺たちに?」


「結晶を見つけたのはお前たちだからな」


 理屈は通る。嫌だけど。


「正直面倒事はご免…」


「金貨五十枚。報酬は金貨五十枚だ」


 食い気味にダンが割り込む


「やりましょう!」


 即答だった。


「相変わらず分かりやすいな」


 ダンが苦笑する。


「主」


「何だよ」


「分かりやすすぎっす」


 否定できない。


 その時だった。


 補佐機構が反応する。



 《緊急案件を確認》


 さらに表示が続く。


 《魔力汚染拡大の可能性》


 《対応を推奨》



「お前もか」


 補佐機構まで乗り気だった。


「あなたの事だからどうせ、でしょ?」


 シエルが尋ねる。


 ユウトは依頼書を見る。


 そして。


「行くしかないだろ」


 困っている人がいる。


 原因も気になる。


 何より放っておくとまた面倒なことになりそうだった。


「決まりね」


「決まりっす!」


 ダンはそんな三人を見て小さく笑う。


「無茶はするなよ」


「そりゃぁ我身が一番かわいいからな」


「そこはもうちょっと…まぁいいや。頼んだぜ!」


「フィーナ!」


「はい」


「王都までの手配をしてやれ」


「分かりました」


 こうして。


 ユウトたちは初めて王都へ向かうことになった。



 その頃。


 王都ギルド本部地下隔離区画。


 鎖に繋がれた男がゆっくりと顔を上げる。


 瞳は真っ黒だった。


「終焉……」


 男が呟く。


「見つけた」


 その口元が不気味に歪んだ。

 第五十七話をお読みいただきありがとうございました!


 結晶は無事に届きました。


 無事だったのはそこまででした。


 次回、ユウトたちは王都へ向かいます!


 それではまた次回!

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