第五十五話 追跡
黒ローブの人物を追いかけるユウトたち。
魔力感知が初めて役に立ちそうです。
たぶんです。
黒ローブの男を追い。
三人は街の路地を駆けていた。
◇
「見失わないようにね!」
「誰に言ってるんだ?」
「主っすね」
「俺かよ!」
男は人混みを縫うように進んでいく。
だが。
ユウトには魔力感知があった。
微かに残る違和感。それを辿る。
「こっちだ!」
三人は路地へ飛び込んだ。
だが。
そこに男の姿はなかった。
「消えた?」
「消えたわね」
「消えたっす」
三人の意見は一致していた。
「いやおかしいだろ!抜け道なんかなかったぞ?」
確かに一本道だった。
隠れる場所もない。
それなのに消えた。
「魔法かしら」
シエルが周囲を見る。
「転移?」
「そこまで高度なものじゃないと思うっす」
シアも珍しく真面目だった。
その時。
ユウトの魔力感知が反応する。
「ん?」
視線を下へ向ける。
路地裏の隅に何かが落ちていた。
黒い欠片。
拳ほどの大きさ。
「これか?」
拾い上げる。
冷たい。
そして。
妙に嫌な感じがした。
「主…そういうのはむやみに触らない方がいいっす」
まさかそんなことをシエルではなくシアに言われるとは。
「それ」
「知ってるのか?」
「知らないっす」
「知らないのかよ」
反射的にツッコんだ。
だがシアの表情は珍しく真剣だった。
「でも嫌な感じがするっす」
「またそれか」
「今回は本当に嫌な感じなんす」
いつもそう言っている気がする。
しかし、シエルも頷いた。
「私も同感ね」
二人がそう言うなら本当に危険なのだろう。
その時だった。
補佐機構が反応する。
◇
《解析を開始》
◇
「お?」
珍しかった。
ユウトが何も頼んでいない。
それなのに勝手に動いている。
◇
数秒後。
表示が切り替わる。
◇
《魔力汚染結晶》
◇
「結晶?」
初めて聞く名前だった。
さらに表示が続く。
◇
《危険》 《長時間の接触を推奨しません》
◇
「おい!もっと早く言え!」
慌てて地面へ置く。
「何て?」
シエルが尋ねる。
「危険らしい」
「でしょうね」
即答だった。
そして、ユウトたちは気付かなかった。
建物の屋根の上。
黒ローブの男が三人を見下ろしていたことに。
◇
「対象を確認」
男が呟く。
「終焉の反応あり」
その声はどこか興奮しているようだった。
第五十五話をお読みいただきありがとうございました!
黒ローブは逃げました。
怪しい結晶は見つかりました。
そしてユウトはまた危険なものを拾いました。
それではまた次回!




