第五十四話 籠手探し
依頼も終わり、久しぶりの平和な一日。
……のはずでした。
今回はユウトの装備探しです。
翌日。
◇
「本当に行くの?」
シエルが聞く。
「言われると丸腰が気になっちゃって」
昨日。
武器の話になった。
そして。
意外にも興味が湧いた。
「主が装備を買う日が来るとは」
シアが感慨深そうに呟く。
「そこまでか?」
「言ってみただけっす」
どうでもよかったらしい。
こうして三人は武器屋へ向かう。
店内へ入ると。
剣。
槍。
斧。
様々な武器が並んでいた。
◇
「おぉ……」
少しテンションが上がる。
「子供みたいね」
「こんな光景ロマンしか感じないだろ!」
たぶん。
シアも興味津々だった。
あちこち見て回っている。
その時。
「にぃちゃん、籠手ならこっちだ」
店主が声をかけてきた。
「お?」
案内された先には。
様々な籠手が並んでいた。
「結構あるんだなぁ」
「冒険者には人気だからな」
なるほど。
ユウトは一つ手に取る。
鉄製。
重い。
「うーん」
違う気がした。
次。
革製。
「軽いな」
だが。
何か違う。
その時だった。
店の外を。
見覚えのある黒いローブが通り過ぎる。
「っ!」
ユウトの魔力感知が反応した。
昨日と同じ。
あの感覚。
「どうしたの?」
シエルが尋ねる。
「昨日のやつだ」
「昨日?」
「黒ローブ」
シエルの表情が少しだけ変わる。
「追うの?」
ユウトは窓の外を見る。
黒ローブは路地へ入っていく。
少し考える。
そして。
「……気になる」
「でしょうね」
シエルは呆れた。
シアは笑う。
「行くっすか!」
こういう時だけ息が合う。
ユウトは籠手を棚へ戻した。
「悪いおっちゃん!また来る」
三人は店を飛び出す。
「買わねぇのかよ」
店主は苦笑する。
◇
「なんとなく事件の匂いがする」
「面倒事の匂いでしょ」
それは否定できなかった。
◇
その頃。
路地裏の奥では。
黒ローブの男が小さな黒い結晶を手にしていた。
「実験体の反応を確認」
低い声が響く。
「次の段階へ移行する」
結晶が脈動した。
まるで生きているかのように。
第五十四話をお読みいただきありがとうございました!
ユウトは武器を探しました。
籠手も悪くなさそうです。
なお、結局まだ買えていません。
それではまた次回!




