第五十三話 装備の話
ワイルドオーガの依頼もひと段落。
久しぶりの食事と雑談です。
……たぶん平和な回です。
ギルドから出たユウトたちは。
そのまま街を歩いていた。
◇
「腹減ったっす」
「さっきも聞いたよ」
シアはずっと言っている。
「主は減ってないんすか?」
「減ってるっちゃ減ってるが」
「ならご飯っす!」
欲求に正直だった。
だが。
反論はできない。
◇
「そうね」
シエルも頷いた。
珍しく意見が一致している。
「じゃあ飯にするか」
反対する意味はない。
こうして三人は食堂へ向かう。
昼時ということもあり。
店内は賑わっていた。
料理を注文し。
しばらく待つ。
その時だった。
◇
「そういえば」
シエルがユウトを見る。
「何だ?」
「あなた武器は?」
「・・・武器?」
考える。
そして。
「持ってないな」
◇
沈黙。
◇
シエル。シア。二人とも固まっていた。
「え?」
「え?」
なぜ驚く。
「今気付いたっす」
「私も今気付いたわ」
何故だ。
「いや、でも今まで普通に戦ってたし」
「全部素手だったわよね」
「言われてみればそうっすね」
確かに言われてみればそうだった。
言われるまで気付かなかった。
「主」
「何だ」
「野生動物っすか?」
「失礼だな」
否定できないのが辛い。
その時。
料理が運ばれてきた。
シアの目が輝く。
「肉っす!」
話が終わった。完全に終わった。
シアは肉へ突撃している。
平和だった。
しばらくして。
「でも」
シエルが口を開く。
「武器はあった方がいいと思うわ」
「そうか?」
「そうっす!あーしでも短剣は持ってるんすよ!」
珍しく二人が一致する。
「例えば?」
「まぁ王道で行けば剣よね」
「却下」
即答だった。
「ずいぶん早いわね」
「なんか違うんだよなぁ」
自分でも理由は分からない。
だが違う。
「槍は?」
「違う」
「斧は?」
「違う」
「主はわがままっす」
理不尽だった。
その時。
補佐機構が反応する。
◇
《推奨装備を検索》
◇
「ん?」
嫌な予感がした。
そして。
表示される。
◇
《推奨:籠手系》
◇
「籠手?」
「何か言った?」
「いや」
ユウトは少し考える。
拳を守る装備。
殴れる。
蹴れる。
今まで通り戦える。
「……悪くないかも」
初めて。
少しだけ興味が湧いた。
◇
その瞬間。
店の外を黒いローブ姿の人物が通り過ぎた。
ほんの一瞬ユウトの魔力感知が反応する。
「っ?」
視線を向ける。
だが。
もう姿はなかった。
第五十三話をお読みいただきありがとうございました!
ユウトに武器がないことが判明しました。
本人も今気付きました。
それではまた次回!




