第五十話 救出
ワイルドオーガとの戦いもいよいよ決着。
ですが、今回の相手はただの魔物ではありませんでした。
ユウトたちは目の前の異変に立ち向かいます。
「増えたぁぁぁ!!」
◇
ユウトの叫びが森へ響く。
二本だった腕が。
四本になった。
増えていた。
「いや増えるなって!」
誰に言っているのかは分からない。
だが言わずにはいられなかった。
ワイルドオーガが咆哮する。
その声は怒りではない。
苦痛だった。
◇
「苦しんでる……?」
ユウトが呟く。
黒い霧はオーガの体から溢れているように見える。
だが違う。
よく見ると霧は体の奥へ入り込んでいた。
まるで寄生しているみたいに。
「シエル!」
「ええ」
シエルも同じ結論に至ったらしい。
「この魔物」
◇
一拍置く。
◇
「被害者よ」
その言葉に。
シアも頷いた。
「あーしもそう思うっす」
珍しく意見が一致していた。
その時ワイルドオーガが苦しそうに頭を抱える。
黒い霧が暴れる。
そして巨大な拳を振り上げた。
狙いは
自分自身だった。
「なっ!?」
ドォン!!
大地が揺れる。
理性が残っている。
まだ完全には飲み込まれていない。
◇
「助けられないのか?」
ユウトが尋ねる。
「分からないわ」
シエルが首を振る。
「でも」
その目が細くなる。
「ホントお人好しね!竜のくせに!」
ユウトは笑った。
「悪かったね!」
その瞬間
シアが動いた。
ドンッ!!
地面が砕ける。
次の瞬間には。
ワイルドオーガの懐へ潜り込んでいた。
「おぉっ!?」
ユウトが驚く。
速い。
今まで見た誰よりも速い。
シアが拳を握る。
「ごめんっす!」
そして。
ドガァァァァン!!
拳が突き刺さった。
衝撃で黒い霧が弾け飛ぶ。
ワイルドオーガが悲鳴を上げる。
だが終わらない。
黒い霧が再び集まる。
「しつこいわね」
今度はシエルだった。
一歩前へ出る。
白銀の髪が揺れる。
「消えなさい」
静かな声。
その瞬間
空気が震えた。
黒い霧だけが。
弾かれるように吹き飛ぶ。
◇
「…え?」
ユウトが固まる。
何をしたのか。
全く見えなかった。
そして霧を失ったワイルドオーガは。
ゆっくりと膝をつく。
ドサリ。
大きな音を立てて倒れた。
息はある。
生きていた。
「終わった?」
ユウトが尋ねる。
その時だった。
◇
《特殊個体の討伐を確認》
《経験値を獲得》
《レベルアップを確認》
◇
「増えたぁぁぁ!!」
ユウトの叫びが森へ響いた。
第五十話をお読みいただきありがとうございました!
オーガは助かりました。
黒い霧は消えました。
そしてレベルは増えました。
それではまた次回!




