第四十八話 実力差
危険度A-になったワイルドオーガ。
ユウトの不安は的中しつつありました。
ですが、同行者たちは相変わらず落ち着いています。
《危険度:A-》
◇
「また増えたぁぁぁ!?」
ユウトの叫びが森に響く。
その間にもワイルドオーガは止まらない。
ドォン!!
地面を砕きながら突進する。
「うおっ!?」
ユウトは慌てて回避した。
木々がなぎ倒される。
さっきまでのオーガとは別物だった。
「なんかさっきより早くなってないか!?」
「速くなってるわね」
シエルは冷静だった。
「だから何でそんなに落ち着いてるんだよ!」
「慌てても強くならないもの」
正論だった。
だが今は聞きたくない。
その時ワイルドオーガが再び拳を振り上げる。
狙いはユウト。
「また俺か!?」
嫌われている気がした。
拳が迫る。
避ける。
が、間に合わない。
◇
「っ!」
直撃。
そう思った瞬間。
バシィッ!!
鋭い音が響く。
オーガの拳が止まっていた。
「……え?」
目の前。
シエルが片手で受け止めていた。
「シエル…さん?」
「何?」
「何じゃねぇ」
ワイルドオーガの拳だ。
危険度A-だ。
普通なら潰れている。
だがシエルは平然としていた。
「邪魔」
ボソッと呟く。
次の瞬間。
ドガァァァン!!
ワイルドオーガの巨体が吹き飛んだ。
「……え?」
飛んだ。
オーガが。
飛んだ。
木を数本へし折りながら転がっていく。
「うそぉ…?」
語彙力が消失していた。
「だから言ったでしょう」
シエルは服の埃を払う。
「そんなに慌てる相手じゃないって」
「いやいやいやいや」
おかしい。
絶対におかしい。
その時だった。
「シエル」
シアが珍しく真面目な声を出す。
「気付いた?」
「はいっす!」
二人の表情が変わる。
笑顔が消えた。
ユウトも気付く。
吹き飛んだはずのワイルドオーガ。
立ち上がっていた。
傷がない。
いや。
違う。
治っている。
「どういうことだ?」
肩の傷も。
腹の傷も。
全部消えていた。
黒い霧が傷口へ吸い込まれていく。
そしてワイルドオーガが再び咆哮する。
◇
《危険度再判定》
◇
嫌な予感しかしなかった。
◇
《危険度:A》
◇
「増えるなぁぁぁ!!」
ユウトの悲鳴が再び森へ響いた。
第四十八話をお読みいただきありがとうございました!
ユウトは驚きました。
オーガも強くなりました。
シエルはオーガを殴り飛ばしました。
それではまた次回!




