第四十五話 ウォーミングアップ
遺跡での出来事はひとまず終わり。
久しぶりに平和な朝を迎えたユウトたちですが、冒険者に休みはありません。
ということで、次のお仕事です。
翌朝。
◇
ユウトは大きく欠伸をした。
「よく寝た」
遺跡から帰ってきた疲れも取れている。
◇
王の記録。
補佐機構の新機能。
気になることは山ほどあった。
◇
だが。
「後でいいか」
今すぐ逃げるわけでもない。
たぶん。
その時だった。
「おはようっす!」
勢いよく扉が開いた。
「朝から元気だな」
「元気だけが取り柄っす!」
威張ることではない。
シアは胸を張っていた。
「そういや」
「なんすか?」
「昨日フィーナに紹介する時、勝手にシアって呼んだけど問題なかったか?」
シアはきょとんとした。
「何がっすか?」
「いやだから名前」
「別にいいっすよ?」
即答だった。
「呼びやすい方が楽じゃないっすか」
「本人がいいならいいか」
話は終わった。
そこへ。
「あなたたち朝から何を話しているの?」
シエルが呆れたように入ってくる。
「名前の話」
「シアになったっす!」
「そう。真名を伏せたのはいい判断だったわね」
シエルは頷いた。
少しだけ微笑んでいた。
だが二人は気付かない。
そんな繊細なことが分かる二人ではなかった。
◇
「飯食ったらギルド行くか」
「賛成っす!」
「そうね」
◇
三人は朝食を済ませると。
冒険者ギルドへ向かった。
そして。
「おはようございます!」
フィーナだった。
「おう、おはよう」
「シアさんもおはようございます」
「おはようっす!」
もう馴染んでいた。
順応が早い。
「今日は依頼ですか?」
「そのつもり」
ユウトは依頼掲示板へ向かう。
しばらく眺める。
そして。
「ん?」
一枚の依頼書が目に留まった。
◇
『ワイルドオーガ討伐』
危険度B。
討伐推奨人数。
5名以上。
◇
「あなたには丁度いいんじゃない?」
シエルが覗き込む。
「シエルさん?危険度B、推奨人数5人とありますが?」
「あら、終焉竜がこんな魔物に恐れを?」
「んぐ…」
最近よく言われる。
その時だった。
「やめておいた方がいいですよ」
フィーナが珍しく真面目な顔をしていた。
「そんなに危険なのか?」
「この依頼」
一拍置く。
「三組連続で失敗しているんです」
ギルドの空気が少しだけ重くなった。
なるほど。
それは確かに面倒そうだ。
だが。
同時に。
少しだけ気になった。
「受けるわよね?」
シエルが聞く。
ユウトは依頼書を見る。
そして。
「ウォ…ウォーミングアップには、ちょ…ちょうどいいだろ」
フィーナが頭を抱えた。
「言うと思いました……」
◇
こうして三人は新たな依頼へ向かうことになった。
第四十五話をお読みいただきありがとうございました!
ユウトは終焉竜です。
危険度Bの依頼に少しだけビビりました。
たぶん気のせいです。
それではまた次回!




