第四十四話 調査報告
長かった遺跡調査もようやく終了。
王との出会い、数々の謎、そして新たな仲間。
ユウトたちは久しぶりに街へと戻ります。
街へ戻った頃には。
すっかり日が傾いていた。
◇
「やっと帰ってきたな」
ユウトは大きく伸びをする。
「思ったより長かったわね」
シエルも小さく息を吐いた。
「楽しかったっす!」
一人だけ元気だった。
「お前なぁ……」
ユウトは苦笑する。
◇
そのまま三人は冒険者ギルドへ向かった。
扉を開く。
すると。
「お帰りなさい!」
聞き慣れた声が飛んできた。
フィーナだった。
「無事だったんですね!」
「まぁな」
正直色々ありすぎた。
「調査はどうでしたか?」
「とりあえず終わった…かな」
「本当ですか!?」
フィーナの表情が明るくなる。
「黒い影の正体も分かった」
「えっ!?」
「謎の女性の正体も分かった」
「ええっ!?」
フィーナは勢いよく身を乗り出した。
「それで!?」
ユウトは隣を指差す。
「こいつ」
「こいつっす!」
ヴァルシアが元気よく手を挙げた。
フィーナが固まる。
「え?」
◇
「え?」「え?」
思わずユウトとヴァルシアも反応してしまった。
「黒い影が彼女?」
「はい」
「謎の女性が彼女?」
「はい」
「同じ人?」
「そうなるな」
◇
フィーナは頭を抱えた。
「調査って難しいですね……」
何かを悟った顔だった。
「ちなみに」
フィーナが恐る恐る尋ねる。
「こちらの方は?」
「ヴ……シアっていうらしい!名前以外はどうやら記憶がないらしい」
「記憶喪失…」
フィーナのキョトン顔も見慣れたものだ。
「そうみたいっす!」
元気よく答えた。
全く信用できなかった。
「王都から来た調査員だったらしいんだけどな」
「覚えてないっす!」
駄目だった。
フィーナは助けを求めるようにシエルを見る。
「本当よ」
「本当なんですね……」
シエルが言うと信憑性が増す。
不思議だった。
「まぁそんな訳で、しばらく俺たちと一緒に行動することになった」
「よろしくっす!」
ヴァルシア改めシアは満面の笑みを浮かべた。
フィーナは少し戸惑いながらも頭を下げる。
「よろしくお願いします。シアさん」
こうして。
調査依頼は無事完了となった。
◇
その日の夜。
宿へ戻ったユウトは。
ベッドへ倒れ込む。
「疲れた……」
◇
遺跡。
王。
補佐機構。
◇
色々ありすぎた。
だが視界の端には相変わらず表示されている。
《王の記録》
《閲覧可能》
「見ないって選択肢あるか?」
しばらく考える。
そして。
「ないな」
嫌な予感しかしなかった。
だが気になる。
ものすごく気になる。
ユウトは小さくため息を吐いた。
「明日見るか」
今日は寝る。
さすがに疲れた。
そうしてユウトは静かに目を閉じた。
第四十四話をお読みいただきありがとうございました!
シア(仮)が仲間になりました。
本人はだいぶ前からそのつもりだったようです。
次回は少しだけ平和な時間になる……かもしれません。
それではまた次回!




