第四十三話 帰還
王との会話を終えたユウトたち。
残された謎は多いものの、ひとまず調査は一区切りとなります。
そして、どうやら新しい仲間も増えそうです。
静寂が戻る。
王が消えた玉座の間。
残されたのは困惑だけだった。
◇
「……で?」
最初に口を開いたのはシエルだった。
「何を話していたの?」
当然の疑問だった。
◇
ユウトは頭を掻く。
「俺もよく分からん」
「分からないじゃなくて説明しなさい」
「王らしい」
「らしい?」
「名前忘れてた」
◇
沈黙。
◇
「王なのに?」
シエルが呆れたように言った。
「お前もそう思うよな」
◇
「それで?」
シエルが話を戻す。
「終焉竜のこと知ってた」
その瞬間二人の表情が変わった。
「何て?」
シエルが真剣な声で尋ねる。
「今も災厄扱いなのかって」
ユウトは肩を竦めた。
「俺に言われてもな」
自覚がない。
終焉竜王らしいことなど何一つしていない。
ゴブリンを助けたし。
依頼もこなしている。
むしろ善良な方ではないだろうか。
「そこは同意するわ」
シエルが頷いた。
「今失礼なこと考えなかった?」
「考えてないわ」
嘘だった。
分かりやすい。
その時だった。
◇
《同期率6%》
◇
補佐機構の声が響く。
「うおっ」
急だった。
「どうしたの?」
「補佐機構」
「ああ」
もう慣れた反応だった。
「6%になった」
「何が?」
「知らんけど同期率がどうとか」
だが何かが変わっているのは確かだった。
◇
《新機能を確認》
◇
「また増えた」
「便利な体ね」
「俺もそう思う」
そして視界の端に小さな文字が浮かぶ。
◇
《王の記録》
《閲覧可能》
◇
「嫌な予感しかしない」
「あなたがそう言う時は大体当たるのよね」
「主はそう言うのは大体見るっすよね」
ヴァルシアも頷いた。
「お前ら俺を何だと思ってるんだ」
返事はなかった。
否定もなかった。
◇
しばらくの沈黙。
「……で?」
今度はユウトが口を開く。
「調査は終わりでいいのか?」
◇
黒い影の正体。
謎の女性。
遺跡の異変。
◇
依頼内容だけ見れば。
十分すぎるほど調べた。
「そうね」
シエルも頷く。
「これ以上進んでも情報が増えるだけよ」
「それはそれで気になるけど」
「駄目よ」
即答だった。
「これ以上はやめておいた方がいいと思うっす」
ヴァルシアも賛成した。
こうして長かった遺跡の調査は一旦終了となった。
◇
遺跡を出てしばらく。
森の中を歩きながら。
ユウトはふと思い出したように口を開いた。
「そういや」
「なんすか?」
「お前これからどうするんだ?」
「どうするとは?」
ヴァルシアが首を傾げる。
「住む場所とか、行く場所とか」
ヴァルシアは数秒考えた。
そして。
「主についていくっす」
「即決かよ」
「駄目なんすか?」
「いや、駄目じゃないけど」
早かった。あまりにも早かった。
「理由は?」
シエルが尋ねる。
「主といた方が面白そうだからっす!」
満面の笑みだった。
「ところでその主ってなんなんだ?」
「主は主っす!あーしの主っす!」
「よくわかんねぇ」
ユウトは深いため息をついた。
「それに」
ヴァルシアは少しだけ真面目な顔になる。
「主のこと見てろって言われた気がするっす」
「誰に?」
「忘れたっす!」
駄目だった。
ユウトとシエルは同時にため息を吐く。
それでもなぜか不思議と嫌ではなかった。
こうしてユウトたちは街への帰路につくのだった。
第四十三話をお読みいただきありがとうございました!
ヴァルシアが正式(?)に仲間になりました。
本人は最初からそのつもりだったようです。
次回、久しぶりの街へ帰還です!
それではまた次回!




