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転生したら最強種だけどレベルが最弱でした。  作者: マッティー


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第四十二話 語られる真実

 玉座の間に現れた黒い影。


 敵意はない。


 だが、ただならぬ存在感を放っていた。


 そしてユウトだけに聞こえる声が、少しずつ真実を語り始める。

 『さてどこから話そうか』


 黒い影の言葉。


 その一言で空気が変わった。



「いや待て」


 ユウトが手を上げる。


「まずお前誰だよ」


 そこからだった。


 数秒の沈黙。


 影は少しだけ考えるような仕草を見せた。


 そして。



『王…とでも言っておこうか』



「雑だな」


 思わずツッコんだ。



 シエルが首を傾げる。


「何を話しているの?」


「自分のこと王って言った」


「王?」


 シエルの表情が険しくなる。


 だが肝心の相手の声は聞こえていない。


「名前は?」


 ユウトが尋ねる。



『はて…そんなものもあったような気がするが』


「忘れたのかよ」


『長く眠りすぎたのでな』


 妙に納得できる理由だった。


「主、その人何て言ってるんすか?」


 ヴァルシアも気になるらしい。


「名前忘れたらしい」


「王なのにっすか?」


「それな」


 影が少しだけ肩を落とした気がした。


『その反応は傷付くぞ』


「知らねぇよ」


 初対面である。


 しかしなぜだろう。


 相手に敵意は感じない。


 むしろどこか親しげですらあった。


 その時影が静かに言った。



『終焉竜か』



 ユウトの表情が変わる。


「知ってるのか?」


『当然だ。知らぬ方がおかしい』


 王の声に迷いはなかった。


「世間じゃ災厄扱いみたいだけどな」


 ユウトが肩を竦める。


 自分ではよく分かっていない。


 ただそういう扱いらしい。



 すると王は小さく笑った。


『今もそうなのか』


『変わらぬな』


「どういう意味だ?」


 王は答えない。


 代わりにどこか懐かしそうな声で呟いた。


『いつの時代も人は恐れる。理解できぬものを』


 静かな言葉だった。


 だがユウトはなぜかその言葉が妙に心に残った。


「終焉竜は違うって言いたいのか?」


 王は少しだけ沈黙した。


 そして。


『少なくともお前は違うのであろう?』


 ユウトが固まる。


「は?」


『お前は終焉ではない』


『まだな』


「いや最後怖いな」


 思わずツッコんだ。


 その瞬間、王が初めて笑った気がした。


『そうであった。お前はそういうやつだったな』


「だから誰と勘違いしてるんだよ」


 話が全然進まない。


 だが王はゆっくりと首を振った。



『勘違いではない。ただ、まだ思い出していないだけだ』


 その言葉と同時に補佐機構が反応する。



 《同期率上昇》


 《同期率5%》



 今までで最大の数値だった。


 そして王の姿が少しだけ揺らぐ。


『時間がないな』


 初めて焦ったような声だった。


『次にまた訪れる時までに…強くなれ』


「は?」


『お前が思っているより、世界は長く持たん』


 その瞬間、黒い影が霧のように崩れ始める。


「待て!」


 ユウトが声を上げる。


 だが


 王は最後に一言だけ残した。



『頼む』



 そして。


 黒い影は完全に消え去った。


 静寂だけが残る。

第四十二話をお読みいただきありがとうございました!


 王なのに名前を忘れていました。


 本人はあまり気にしていないようです。


 次回、ユウトたちは王の間を後にします。


 たぶん。


 それではまた次回!

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