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転生したら最強種だけどレベルが最弱でした。  作者: マッティー


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第四十一話 黒い影

王の間に現れた黒い影。


 敵か味方かも分からない存在を前に、ユウトたちは動けずにいた。


 そして、その影はユウトだけに語りかける――。

 玉座に現れた黒い影。


 三人は動かなかった。


 いや


 動けなかった。



 それは人の形をしていた。


 男にも見える。


 女にも見える。


 輪郭が曖昧だった。


 まるで影そのものが立ち上がったような姿。



 シエルが一歩前に出る。


 警戒は最大。


 いつでも動けるように構えていた。



 ヴァルシアも珍しく無言だった。


 先ほどから一度も笑っていない。



 一方。


 ユウトはその影を見つめていた。


 なぜだろう。


 怖くない。


 むしろ。


 どこか懐かしいような感覚すらあった。



 《同期率上昇》


 《同期率3%》


 補佐機構の声が響く。


 また上がった。


 意味は分からない。


 だが確実に何かが進んでいる。


 その時だった。



『久しいな』



 声が響く。


 男の声。


 だがどこか遠い。


 直接頭の中に響いているような不思議な感覚だった。


「……誰だ?」


 ユウトが尋ねる。


 影は少しだけ沈黙した。


 そして。



『忘れたか』



「忘れたも何も知らねぇよ」


 即答だった。



 数秒の沈黙。



『そうであったな』



 納得された。


 何に納得したのかは分からない。


「主、会話できるんすか?」


 ヴァルシアが驚いたように言う。


「お前聞こえてないのか?」


「聞こえてないっす」


「え?」


 ユウトはシエルを見る。


「何を話しているの?」


 どうやら聞こえていないらしい。


 影の声はユウトにしか届いていなかった。


「また補佐機構みたいなやつ?」


 シエルが呆れたように言う。


「いや、多分違う」


 補佐機構とは明らかに違う。


 何というかもっと生々しい。


 その時影が小さく笑った。



『補佐機構』


『懐かしい名だ』



 ユウトの背筋が凍る。


「お前」



『知っているとも』


 影は静かに続けた。


『それは我が作ったものだからな』



 沈黙。


「……は?」


 ユウトが固まる。


 補佐機構を。


 作った?


 今そう言ったのか?



 《警告》


 《情報開示制限を確認》


 《強制終了します》



「おい待て」


 補佐機構の声が途切れる。


 完全な沈黙。



 初めてだった。


 補佐機構が自ら会話を切ったのは。


 そして影は静かに言った。



『さてどこから話そうか』



 玉座の間に重い静寂が落ちた。

第四十一話をお読みいただきありがとうございました!


 シエルとヴァルシアには聞こえていません。


 ユウトだけです。


 傍から見ると一人で会話しているようにしか見えません。


 それではまた次回!

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