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転生したら最強種だけどレベルが最弱でした。  作者: マッティー


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第四十話 玉座の足音

王の間の奥。


 そこにあったのは、理解できない記憶と理解したくない気配でした。


 そして、誰もいないはずの玉座から聞こえる足音。


 少しずつ異変の核心へ近付いていきます。

 カツン。


 静寂の中に足音が響く。


 三人は動けなかった。


 誰もいないはずの玉座。


 そこから確かに音が聞こえた。



 カツン。


 もう一度。


 今度は少しだけ近く感じる。


「聞こえたわよね?」


 シエルが警戒を強める。


「ああ」


 ユウトも頷く。


 気のせいではない。


 確実に誰かいる。



 しかし見えない。


 玉座には誰も座っていない。


 周囲にも人影はない。


 なのに足音だけが響いている。


「……まずいっすね」


 ヴァルシアが呟いた。


 その声は今までになく真剣だった。


「お前がそう言うと本当にまずそうだな」


「本当にまずいっす」


 否定しなかった。



 《同期率上昇》


 《同期率2%》


 補佐機構の声が響く。


「またか」


 ユウトが顔をしかめる。


 頭の奥が熱い。


 何かが流れ込んでくる。



 玉座。


 炎。


 崩れゆく世界。


 そして。


 一人の男。



「……誰だ?」


 思わず呟く。


 黒い外套(がいとう)(まと)った男。


 顔は見えない。


 だが。


 その姿を見た瞬間。


 理解した。



 強い。



 そんな言葉では足りない。


 存在そのものが規格外だった。



 《王の記憶を確認》


「っ!」


 ユウトは頭を押さえる。


 映像が流れ込む。


 男が歩く。


 それだけで大地が裂ける。


 男が空を見る。


 それだけで空間が震える。



「どうしたの!?」


 シエルが声を上げる。


 だがユウトには聞こえない。


 意識の大半が映像へ引き込まれていた。



 男が振り向く。


 その瞬間だった。



 バチッ。



 映像が乱れる。


 男と目が合った気がした。



 あり得ない。


 これは記憶のはずだ。


 過去の映像のはずだ。


 なのに男は確かにこちらを見た。


『――ようやく』


 声が聞こえた。


『見つけた』


「は?」



 ユウトの意識が現実へ引き戻される。


 息が荒い。


 心臓がうるさい。


「今の何?」


 シエルが尋ねる。


「分からん」


 本当に分からない。


 ただ一つだけ確かなことがあった。


「見られてた」


 ユウトの言葉に。


 ヴァルシアの顔色が変わった。


「……主」


「なんだ?」


 ヴァルシアは珍しく笑っていなかった。


「それ」


 一拍置く。


「きっと聞いちゃ駄目なやつっす」


 その瞬間


 誰も座っていなかった玉座に黒い影が現れた。

第四十話をお読みいただきありがとうございました!


 ヴァルシアが本気で焦っています。


 次回、玉座の影とご対面です。


 それではまた次回!

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