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転生したら最強種だけどレベルが最弱でした。  作者: マッティー


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第三十九話 王の記録

ついに辿り着いた王の間。


 しかしそこは、常識の通用しない異質な空間でした。


 補佐機構すら警告するその先に待つものとは――。

 眩い光が収まる。


 ユウトたちはゆっくりと目を開いた。


「……なんだここ」


 思わず呟く。



 扉の先に広がっていたのは。


 巨大な空間だった。


 天井は見えない。


 壁も見えない。


 まるで夜空の中に立っているかのような空間。


 足元だけが白い石でできていた。


「遺跡の中よね?」


 シエルが周囲を見回す。


「そう見えないっすけどね」


 ヴァルシアも珍しく落ち着かない様子だった。



 そして空間の中央。


 遥か先に何かが見えた。


「あれは?」


 ユウトが目を凝らす。


 玉座だった。


 巨大な玉座。


 誰も座っていない。


 はずだった。



 《高濃度反応を確認》


 補佐機構の声が響く。


 《警告》


 《接近を推奨しません》


「え?」


 ユウトは思わず足を止めた。


 今までの補佐機構は、


 危険を警告しても最終判断は任せてきた。


 だが今回は違う。


 明確に近付くなと言った。



「どうしたの?」


 シエルが尋ねる。


「補佐機構が近付くなって」


 その瞬間。


 シエルとヴァルシアの表情が変わった。



「珍しいっすね」


 ヴァルシアが呟く。


「知ってるのか?」


「いや」


 首を振る。


「でも主のその何かが止めるのは珍しいと思うっす」


 確かにそうだった。


 しかしユウトは玉座を見る。


 気になる。


 ものすごく気になる。


 補佐機構に止められるほどならなおさらだ。



「行く気ね」


 シエルが言う。


「ここまで来たら帰れないっしょ」


「でしょうね」


 諦めたようにため息を吐く。



 三人はゆっくり進む。


 一歩。


 また一歩。


 玉座との距離が縮まる。


 すると周囲の景色が揺らいだ。



 夜空だと思っていたもの。


 それは空ではなかった。


 無数の光。


 無数の文字。


 無数の記憶。


 理解できない何かが空間を埋め尽くしていた。


「……気持ち悪い」


 シエルが顔をしかめる。


 ヴァルシアも無言だった。



 《記録領域を確認》


 《王の記録を確認》


 補佐機構が告げる。


 ユウトは眉をひそめた。


「記録?」


 その瞬間。


 視界に映像が流れ込んだ。



 炎。


 崩壊する大地。


 砕ける空。


 叫び声。


 無数の竜。


 そして。


 巨大な影。



「っ!?」


 ユウトが頭を押さえる。


「どうしたの!?」


 シエルが駆け寄る。


 しかし映像は止まらない。



 《王の記録を確認》


 《同期率上昇》


 《同期率1%》



「待て待て待て」


 ユウトは慌てる。


 嫌な予感しかしない。


 というか。


 絶対面倒なやつだ。



 その時だった。


 誰も座っていなかったはずの玉座。


 そこから。


 カツン。


 小さな音が響いた。


 三人の動きが止まる。


 聞こえた。


 確かに聞こえた。


 足音だった。


 誰もいないはずの玉座から。


 もう一度。


 カツン。


 と。

第三十九話をお読みいただきありがとうございました!


 王の間に到着しました。


 なお補佐機構は珍しく「近付くな」と言っています。


 ユウトは近付きました。


 そういう主人公です。


 それではまた次回!

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