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転生したら最強種だけどレベルが最弱でした。  作者: マッティー


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第三十六話 再会

遺跡の奥へ進むユウトたち。


 石碑に刻まれていた「王の帰還」。


 そして補佐機構が追跡する謎の存在。


 ようやく追いついたその相手は――思っていたよりずっと気軽な相手でした。

 《対象を確認》


 《追跡を推奨》


 補佐機構の声を聞きながら。


 ユウトとシエルは通路を進んでいた。


「なぁ」


「何?」


「やっぱ帰っていい?」


「まだ言うの?」


 シエルが呆れたようにため息を吐く。


「だって絶対面倒事じゃん」


「それは否定できないわね」


 珍しく即答だった。



 しばらく進む。


 すると。


 通路の先に人影が見えた。


「いた」


 ユウトが足を止める。


 長い黒髪。


 黒い服。


 女性だった。


 こちらに背を向けて立っている。


 間違いない。


 今まで追っていた相手だ。


「おい」


 ユウトが声をかける。


 女性の肩がぴくりと動く。


 そして。


 ゆっくりと振り返った。


「あぁっ!」


 第一声はそれだった。


「来たっすね」


「来たっすね?」


 ユウトは即座にツッコむ。


「誰だお前」


 女性はきょとんとした。


「誰だと思うっす?」


「いや、わかるわけないだろ!」


「それもそうっすね」


 軽かった。


 異様なほど軽かった。


 もっとこう。


 遺跡の奥で待ち構える謎の人物らしい雰囲気はないのだろうか。



 女性はユウトをじっと見つめる。


 そして。


「だいぶ人化が馴染んできたっすね」


「は?」


「前は角と尻尾がしっかり見えてたのに」


 ユウトの顔が引きつった。


「……俺を知ってるのか?」


「知ってるっす」


 にこり。


 満面の笑みだった。


「だって一緒に戦ったじゃないっすか」


 その瞬間。


 ユウトの脳裏に巨大な黒龍の姿が浮かんだ。


 圧倒的な存在感。


 そして自分を逃がしてくれた竜。


「まさか」


「まさかっす」


 女性は胸を張った。


「黒龍っす!」



 沈黙。


「……は?」


 ユウトが固まる。


「……は?」


 シエルも固まる。



「黒龍っす」


「いやいやいや」


 ユウトが首を振る。


「人じゃん」


「人じゃないっす」


「じゃあ何なんだよ」


「黒龍のヴァルシアっす」


 堂々としていた。


 全く隠す気がない。


「待ちなさい」


 シエルが口を開く。


「なんすか?」


「今なんて?」


「黒龍のヴァルシアっす」


 即答だった。



 シエルが固まった。


 数秒固まった。


 そして。


「今」


「はい?」


「今、真名を言わなかった?」


 ヴァルシアが首を傾げる。


「言ったっすよ?」


「あれ?竜の真名ってたしか…」


 ユウトがそっとシエルの方を向く。


 ヴァルシアはしばらく考えた。


 そして。


「あ」


 今気付いたらしい。


「まぁいっか!」


「よくないわよ!」


 シエルの叫びが遺跡に響く。


「真名は竜にとって重要なものなのよ!?」


「そうだったっす!」


「そうよ!」


「これはうっかりっす!」


「嘘でしょう!?」


 シエルが頭を抱えた。


 ユウトは横で笑いを堪えていた。



 しばらくして。


 ようやく落ち着いた頃。


 ユウトが尋ねる。


「で?」


「なんすか?」


「なんでここにいる」


 その瞬間だった。


 ヴァルシアの表情が変わる。


 笑顔は消えていない。


 だがどこか真剣だった。


「待ってたんすよ」


「俺を?」


「主を」


 空気が変わる。


 ユウトの表情も真面目になる。


「理由は?」


 ヴァルシアは静かに答えた。


「王が目覚めそうなんす」


 その言葉にユウトとシエルは顔を見合わせた。


 王の帰還。


 石碑に刻まれていた言葉。


 そして今まで起きていた異変。


 全てが一本に繋がり始める。


 そんな気がした。

第三十六話をお読みいただきありがとうございました!


 新キャラ、ヴァルシア登場です!


 なお本人は登場から数分で真名を公開しました。


 シエルが頭を抱えるのも仕方ありません。


 しかしヴァルシアは気にしていません。


 たぶんこれからも気にしません。


 そして物語はいよいよ「王の帰還」の核心へ。


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