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転生したら最強種だけどレベルが最弱でした。  作者: マッティー


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第三十四話 誰かがいる

遺跡に足を踏み入れたユウトたち。


 しかし、そこで待っていたのは魔物でも罠でもなく――補佐機構の異常反応だった。


 今まで見たことのないエラー。


 初めて聞く警告。


 そして、正体不明の存在。


 嫌な予感しかしない遺跡探索の始まりです。

 《警告》


 《該当個体の確認を推奨》


 補佐機構の声が消える。


 その後は何もない。


「終わり?」


 ユウトは思わず呟いた。


 いつもなら危険度だの進化先だの色々教えてくれる。


 しかし今回は違った。


 警告だけ。


 それ以上の情報は一切ない。


「どうしたの?」


 シエルが怪訝そうに尋ねる。


「補佐機構がエラー吐いた」


「……は?」


 今度はシエルが目を丸くした。


「そんなことがあるの?」


「俺も初めて見た」


 むしろ本人が一番驚いている。


 レベルも。


 進化も。


 鑑定も。


 今まで補佐機構は当たり前のように機能していた。


 それが突然のエラー。


「ますます嫌な予感がするわね」


「同感」


 二人は慎重に遺跡の中へ進んだ。



 遺跡内部は以前と変わらなかった。


 崩れた壁。


 長い通路。


 古びた石畳。


 人の手が入った形跡はない。


 だが。


「気になるな」


 ユウトが足を止めた。


「何が?」


「足跡」


 床に残る土埃。


 その上に複数の足跡が刻まれていた。


「入口だけじゃなかったか」


「思ったより奥まで入っているみたいね」


 しかも新しい。


 数日以内。


 そう思えるほど鮮明だった。


「冒険者か?」


「だといいのだけれど」


 シエルの返答は歯切れが悪い。


「違うのか?」


「人間の足跡だけじゃない」


 よく見ると。


 人のものに混じって奇妙な跡があった。


 爪のようなもの。


 獣とも違う。


 魔物とも違う。


 何か別の存在。


「嫌だなぁ」


「私も嫌ね」


 最近そればかりだった。



 さらに奥へ進む。


 すると。


 広間へと繋がる通路に差し掛かった。


 その時。


 ユウトの足が止まる。


「おい」


「ええ」


 シエルも気付いたらしい。


 気配がある。


 誰かいる。


 かなり近い。


 二人は息を潜める。


 広間の入口からそっと覗き込んだ。


 そして。


「……誰もいない?」


 ユウトが首を傾げる。


 広間は空だった。


 少なくとも見える範囲には。


「気のせい?」


「いや」


 シエルが首を振る。


「確かにいる」


 白銀龍の感覚がそう告げている。


 だが見えない。


 気配だけがある。


 その時だった。


 カツン。


 広間の奥から小さな音が響く。


 二人は同時に視線を向けた。


 誰もいない。


 はずだった。


「……いた」


 ユウトが呟く。


 広間の最奥。


 石柱の陰。


 一瞬だけ。


 何かが見えた。


 黒い影。


 人の形。


 しかし次の瞬間には消えていた。


「追うか?」


「罠の可能性もあるわ」


「だよなぁ」


 そう言いながらも。


 ユウトは既に走り出していた。


「待ちなさい!」


 シエルも慌てて追いかける。



 石柱の裏へ回り込む。


 だが。


 そこには誰もいなかった。


「消えた?」


「そんな馬鹿な」


 隠れる場所などない。


 広間は開けている。


 逃げるなら見えるはずだ。


 なのに。


 気配だけが残っている。


 まるで。


 そこにいた事実だけを残して。


 存在そのものが消えたかのように。


 その瞬間。


 再び補佐機構が反応した。


 《警告》


 《対象を見失いました》


「見失った?」


 ユウトは思わず声を上げる。


 今。


 補佐機構は確かに言った。


 対象。


 つまり。


「補佐機構、お前見えてるのか?」


 返事はない。


 だが。


 一つだけ表示が浮かんだ。


 《対象を追跡中》


 そして。


 矢印のような光が視界の端に現れる。


 その先は――


 遺跡のさらに深部だった。

第三十四話をお読みいただきありがとうございました!


 ついに黒い影(っぽい何か)が登場しました。


 なお、ユウトは気配を感じた瞬間に追いかけました。


 罠かもしれない。


 危険かもしれない。


 でも追いかけました。


 そういう主人公です。


 そして補佐機構もまさかの追跡機能を発動。


 便利なのか不便なのか…


 次回、遺跡のさらに深部へ。


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