第三十二話 調査依頼
第三十二話です!
新たな依頼は遺跡周辺の調査。
ですが、その場所にはユウトたちにも少しだけ心当たりがあるようで――。
次の冒険が始まります。
翌日。
新しい依頼書を手にしたユウトは、ギルドのテーブルに腰掛けていた。
◇
「それで?何を調査するの?」
向かいに座るシエルが尋ねる。
ユウトは依頼書を広げた。
「遺跡周辺の調査らしい」
「遺跡?」
シエルが覗き込む。
そして。
二人同時に固まった。
「おい」
「ええ」
「ここって」
「私たちが出会った場所ね」
地図に描かれているのは見覚えのある場所だった。
王の帰還。
補佐機構がそう告げた遺跡。
「嫌な予感しかしないんだけど」
「珍しく同意するわ」
そんな二人の様子を。
フィーナが不思議そうに見ていた。
「何か心当たりがあるんですか?」
「ない」
即答だった。
「ないわね」
シエルも続く。
「そうなんですか?」
「ないないないないない!全然ない!」
「ないわね」
フィーナは首を傾げた。
「なんだか怪しいんですけど……」
「気のせいだ」「気のせいよ」
息ぴったりだった。
「ちなみに何が目撃されてるんだ?」
ユウトが依頼書を指差す。
「それがよく分からないんです」
「いっつも分からないな」
「目撃情報がバラバラで」
フィーナは書類を取り出した。
「黒い影を見たという人もいれば」
「女性を見たという人もいます」
「魔物ではないのか?」
「それも不明です」
調査依頼らしい回答だった。
「ますます嫌な予感がするわね」
「だな」
今回はユウトも否定できなかった。
「まぁ行ってみるか」
「そうね」
こうして二人はギルドを後にする。
フィーナは見送るように手を振った。
「お気を付けて!」
「おう!」
ユウトも手を振り返す。
◇
「本当に心配なんですけど……」
小さく漏らしたフィーナの呟きは。
本人たちには届かなかった。
◇
街を出てしばらく。
ユウトは空を見上げた。
「なぁ」
「何?」
「絶対あの遺跡だよな」
「絶対あの遺跡ね」
二人は同時にため息を吐いた。
どうやら。
平穏な日常はまだ少し先らしい。
第三十二話を読んでいただきありがとうございました!
新章スタートです!
今回の依頼先は、ユウトとシエルにとって見覚えのある場所でした。
本人たちは全力で否定していましたが、どう見ても何か知っています。
たぶんフィーナも気付いています。
そして調査依頼のお約束ですが、今回も情報はかなり曖昧です。
黒い影。謎の女性。正体不明。
嫌な予感しかしませんね。
次回、遺跡へ向かいます!
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