第三十一話 ギルド長
第三十一話です!
新しいギルドカードを受け取るため、翌朝ギルドを訪れたユウト。
そこで待っていたのは、少し意外な人物との出会いでした。
翌朝。
ユウトはギルドへやって来ていた。
◇
「おはようございます」
カウンターの向こうからフィーナが笑顔を向ける。
「おう」
「ちゃんと来てくれましたね」
「来るだろ普通」
「来ない人もいます」
朝からこんな笑顔が見れるのに来ないなんて、変わったやつもいるんだな。
「こちらです」
フィーナは一枚のカードを差し出した。
ユウトは受け取る。
「へぇ」
見た目はあまり変わらない。
だが。
ランクだけは確かに上がっていた。
「おめでとうございます」
「ありがとな」
ユウトがカードを眺めていると。
「お前がユウトか」
低い声が響いた。
振り向く。
そこには大柄な男が立っていた。
年齢は五十前後。
短く刈り込んだ髪。
顔には古傷。
いかにも歴戦の冒険者という雰囲気だった。
◇
「ど、どこかでお会いしましたっけ?」
「ギルド長のダンさんです!」
フィーナが慌てる。
「ギルド長!?」
完全に不意だった。
ギルド長は腕を組む。
「話は聞いている」
「どの話でしょう?」
「ゴブリンと話し合った馬鹿の話だ」
ユウトが固まる。
「馬鹿って言った?」
「あら、褒められてよかったわね」
シエルが微笑みながら言った。
「褒めてないだろ」
ギルド内から笑い声が漏れた。
どうやらこの人はこういう人らしい。
「本来なら特例昇格なんて滅多にない」
ダンの表情が少し真面目になる。
「だが」
「行方不明者全員救出、被害者なし、しかもゴブリン討伐をしないでだ。正直意味が分からん」
「俺もそう思う」
ユウトも思わず本音が出た。
ダンは少しだけ笑う。
「だが結果は結果だ!文句を言う奴はいない」
周囲の冒険者たちも頷いていた。
「一つだけ聞く」
「ん?」
「本当に討伐してないんだな?」
「してない」
即答だった。
ダンは数秒ユウトを見つめる。
そして。
「そうか」
それ以上は聞かなかった。
ユウトも助かった。
終焉竜の話など説明できるわけがない。
「まぁいい」
ダンは一枚の依頼書を机に置く。
「せっかくランクが上がったんだ」
「次も頑張れ」
「依頼?」
ユウトは紙を見る。
『遺跡周辺の調査依頼』
「遺跡?」
「最近妙な目撃情報が増えてる」
ダンが言う。
「魔物か?」
「分からん」
「分からんのか」
「だから調査だ」
確かにその通りだった。
ユウトは依頼書を眺める。
そして。
「まぁ面白そうだな」
その言葉に。
シエルが小さくため息をついた。
「嫌な予感しかしないわ」
「私もです」
なぜかフィーナまで同意した。
ユウトだけが納得していなかった。
こうして新たな依頼が始まろうとしていた。
第三十一話を読んでいただきありがとうございました!
今回はギルド長が初登場しました。
そして新たな依頼も始まりました。
遺跡周辺で目撃される謎の存在。
果たして魔物なのか、それとも別の何かなのか。
ユウト本人は楽しそうですが、シエルとフィーナは既に嫌な予感しかしないようです。
次回より新章スタートです!
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