第二十八話 帰る場所
第二十八話です!
ついに明らかになった行方不明事件の真相。
ゴブリンたちが街の近くへ現れた理由。
そして、その原因となった災厄の正体とは――。
今回で事件は一つの決着を迎えます。
「……はい?」
ゴブリンの長は固まっていた。
無理もない。
◇
「いや、俺も詳しくは分からないんだけどさ」
ユウトは頭を掻く。
「終焉竜王らしいんだよ」
「まだ幼体だけどね」
すかさずシエルが補足した
「それは言わなくてよくない……」
「幼体よ」
シエルは即答した。
長が天を仰ぐ。
「終わった……」
「そこまで?」
ユウトは少し傷付いた。
「終焉竜……災厄」
「世界の終わり」
「生きる者の敵」
長は震えながら言う。
「いやいや待て待て!」
ユウトは慌てて手を振った。
「そんな大層なことしないから!というか出来ないから!」
「本当?」
「本当!」
長は疑っていた。
だが。
目の前の青年を見ていると。
どうしても伝承の終焉竜と結び付かない。
「弱そう」
「殴っていい?」
初対面で言われた。
シエルが吹き出しそうになっている。
「今笑ったよな?」
「気のせいじゃない?」
「絶対笑った!」
◇
長は恐る恐る尋ねる。
「怒らない?」
「何が?」
「我ら、住処追われた原因」
ユウトは少し考えた。
そして。
「まぁ申し訳ないとは思う」
長が固まる。
「でも俺も知らなかったし」
「……それもそう」
妙に納得された。
ユウトは椅子から立ち上がる。
「とりあえずさ」
「はい」
「人質は解放しよう」
長は静かに頷いた。
「元々……そのつもり」
「なら話は早い」
そして。
ユウトは少し考えてから続ける。
「あと元の住処に戻れよ」
長が驚く。
「戻れる?」
「たぶん」
ユウトは苦笑した。
「だってその災厄、もうあそこにいないし」
長は目を丸くする。
確かにそうだった。
災厄そのものが今この瞬間目の前にいる。
◇
「終焉竜様」
「だから様はいらないって」
「我らを従えないか?」
「いらない」
ユウトは即答した。
「え?」
長が固まる。
「いや、だって面倒だし」
再び沈黙。
長は人生で初めて見るタイプの終焉竜だった。
「でしょうね」
シエルも小さく頷く。
なぜか納得されていた。
◇
「とにかく」
ユウトは扉へ向かう。
「人は返す」
「うん」
「住処へ戻る」
「うん」
「それで終わりだな」
長はしばらく考え。
そして深く頭を下げた。
「感謝する」
ユウトは軽く手を振る。
「気にすんな。元々俺のせいみたいなんだし」
こうして。
行方不明事件は思いもよらない形で解決へ向かうのだった。
第二十八話を読んでいただきありがとうございました!
ゴブリンたちの事情も判明し、行方不明事件はようやく解決へ向かうことになりました。
それにしても、伝承では「世界の終わり」と恐れられている終焉竜王。
その幼体は、
「面倒だから従者はいらない」
と言い放つような性格だったようです。
きっと歴代でもかなり珍しい終焉竜王なのではないでしょうか。
次回は街への帰還。
受付嬢やギルドがどんな反応を見せるのか、お楽しみに!
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