↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら最強種だけどレベルが最弱でした。  作者: マッティー
第二章 広がる世界

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
250/322

第二百五十話 第三段階

空間の境界への魔力接続に成功し、その先に存在する「空間の狭間」を感じ取ったユウト。


しかし、空間転換(クロノシフト)は狭間を移動する魔法ではありません。


次なる課題は、狭間を介して繋ぐべき「異なる空間」を見つけること。


ユウトのクロノシフト習得も、いよいよ第三段階へ突入します!


それでは、第250話をお楽しみください!

「……空間の狭間」


 ユウトは自分の手を見つめながら、先ほどの感覚を思い返していた。


 ほんの一瞬触れただけだったが、上下も左右も存在せず、何もないはずなのに果てしなく広がっているような、あの奇妙な感覚は今も鮮明に残っている。


「何もないのに……なんか変な感じだったな」


「怖かった?」


 シエルが尋ねると、ユウトは少し考えてから首を傾げた。


「んー……怖いっていうより、気持ち悪い?」


「同じようなもんじゃねぇか」


「違うんだよ!」


「何が?」


「分かんないけど!」


「じゃあ同じじゃねーか」


「うるさいなぁ!」


 リトが笑う横で、シアが興味津々といった様子で身を乗り出した。


「主! あーしも見てみたいっす!」


「やめとけ」


「なんでっすか!?」


「消えるかもしれないぞ」


「やめとくっす!」


「判断早ぇな!」


「主に言われたくないっす!」


「確かにね」


「シエル!?」


 あっさり意見を変えたシアを笑ったつもりが、逆に自分のことを指摘されてしまった。


 そんな一行を見ていたルミナが、小さく笑みを零す。


「ふふっ。では、次の段階へ進みましょうか」


「もう!?」


 ユウトが驚いて顔を上げる。


 つい先ほど、ようやく空間の狭間へ接続できたばかりだ。もう少し落ち着く時間が欲しいところだった。


「やりたくないのですか?」


「やります!」


「どっちだよ」


「怖いのと覚えたいのは別!」


「面倒くせぇ奴だな」


「ほっとけ!」


 リトへ言い返しながらも、ユウトは再び魔法陣へ視線を向けた。


 恐ろしい感覚だったのは確かだが、ここまで来て諦めるつもりはない。


 ゴルダンを故郷へ帰すためにも、空間転換(クロノシフト)を習得する必要があるのだ。


 ルミナは魔法陣の近くまで歩くと、一行へ向き直った。


「先ほど、私は空間転換(クロノシフト)についてこう説明しました。空間の狭間を経由し、異なる空間座標同士を繋ぐ魔法だと」


「はい」


「ですが、一つ訂正しておきましょう」


「訂正?」


「正確には、狭間を移動する魔法ではありません」


「…………?」


 ユウトが首を傾げると、隣のシエルが口を開いた。


「どういうこと?」


「狭間を経由し、二つの異なる空間を接続するのです」


「……同じじゃないの?」


「違います」


「即答!」


 ルミナは小さく微笑むと、両手を少し離して構えた。


「例えば、こちらが私たちのいる空間」


 右手を示し、続けて左手へ視線を移す。


「そして、こちらが別の空間。この二つは、本来繋がっていません」


「うん」


「空間転換(クロノシフト)は、空間の狭間を利用して、この二つを一時的に繋ぎます」


 そう説明しながら、ルミナはゆっくりと両手を近付けていった。


 やがて二つの手が重なる。


「そこに道を作るのです」


「…………」


 ユウトは重なった両手を見つめ、ようやく説明の意味を理解し始めた。


「じゃあ……俺自身が狭間をずっと移動するわけじゃない?」


「その通りです」


「よかったぁ!」


「そこ?」


 シエルが呆れたように言う。


「だってあそこ気持ち悪いんだって!」


「安心するのはまだ早いですよ」


「……え?」


 ルミナは再び両手を離した。


「その道を作るためには、繋ぐ先を見つけなければなりません」


「…………」


 ユウトの表情が固まった。


「……どうやって?」


「探します」


「…………」


 あまりにも簡潔な答えだった。


「それだけ!?」


「それだけです」


「空間の狭間で!?」


「はい」


「何もないのに!?」


「ありますよ」


「何が!?」


「別の空間が」


「そういうこと聞いてない!」


 ユウトが頭を抱えると、シアが不思議そうに首を傾げた。


「主、探し物苦手っすか?」


「普通の探し物ならできるよ!」


「この前宿で籠手探してなかったか?」


 リトの言葉に、ユウトがぴたりと動きを止める。


「…………」


「装備してたわね」


「言うな!」


「アニキ……」


「そんな目で見るな!」


 シエルの追い打ちに、リトまで哀れむような視線を向けてきた。


 ルミナはそんな様子を楽しそうに眺めていたが、やがて説明を続けた。


「ふふっ。ですが、今回は目で探すわけではありません」


「じゃあ?」


「魔力です」


「……魔力?」


「異なる空間には、それぞれ異なる魔力の流れがあります。その違いを、狭間の中から探すのです」


「なるほど……」


 ユウトは魔法陣を見下ろした。


 何も見えず、距離も方角も分からない場所から、魔力の違いを頼りに別の空間を探す。


 自分一人では難しそうだが、幸いにも頼れる存在がいた。


「それなら補佐機構が何とかしてくれそう」


『解析可能です』


「ほら!」


「……何が?」


「あ」


 思わず声に出してしまい、ユウトは口を閉じた。


「また一人で会話してるっす!」


「恥ずかしいから言うな!」


 シアが笑う横で、ルミナは穏やかに微笑んだ。


「準備は?」


「……できてます!」


「では、始めましょう」


 ユウトは再び魔法陣の中央に立ち、ゆっくりと目を閉じた。


(補佐機構)


『はい』


(今度は別の空間を探すんだって)


『把握しています』


(……聞いてたの?)


『常時情報を取得しています』


(…………)


『問題がありますか?』


(ちょっと怖い)


『理解不能』


(だろうな!)


『集中してください』


(はい……)


 ユウトは余計な考えを振り払い、意識を研ぎ澄ませた。


 周囲の音が遠ざかり、仲間たちの気配も次第に薄れていく。


 そして、何もない暗闇の中に細い光が現れた。


 空間の境界。


 ユウトはそれを安定して認識すると、自らの魔力を細く伸ばしていった。


 前回は何度も失敗した工程だが、今回は魔力の出力を乱すことなく、境界へ近付けていく。


『空間境界との接続を確認』


(…………!)


 今度は一度で成功した。


(……よし)


『第三段階へ移行します』


(頼む)


 次の瞬間、再び周囲の感覚が失われた。


 上下も左右もなく、距離という概念さえ存在しない。


 空間と空間の狭間。


 先ほど体験した、あの奇妙な感覚だった。


(……別の空間)


 ユウトは意識を集中させ、周囲を探ろうとした。


 しかし、どこへ感覚を向ければいいのか分からない。


 そもそも、この場所には方角も距離も存在しないのだ。


(……分かんねぇ)


『解析を開始します』


(頼む)


 補佐機構の声を聞きながら、ユウトは意識を広げていった。


 何もない……魔力の流れを探そうにも、何を基準に違いを見つければいいのか見当もつかなかった。


 時間だけが過ぎていく。


(……ない)


『検索を継続します』


(…………)


 ユウトはさらに意識を広げた。


 すると――。


(……ん?)


 何かが引っ掛かった。


 先ほどまでとは、ほんの僅かに異なる感覚。


 何が違うのかは分からないが、確かに何かを感じたのだ。


(今……)


『異常を検知』


(あった!?)


『不明』


(そこは断言してよ!)


『解析中』


 ユウトはその感覚へ意識を集中させた。


 遠くにあるようにも感じる。


 だが、この場所で遠いという表現が正しいのかさえ分からなかった。


 方角も距離もない。


 それでも、自分たちのいる空間とは違う何かが、確かに存在している。


(……これ)


『異なる魔力情報を検知』


(…………!)


『現在空間との一致率――低』


『別空間である可能性があります』


(……見つけた?)


『現段階では特定不能』


(やっぱり!)


 思わず突っ込みそうになったが、今はそれどころではない。


 ようやく見つけた手掛かりを逃さないよう、ユウトは意識を保ち続けた。


『解析を継続しますか?』


(もちろん!)


 さらに感覚を研ぎ澄ませ、未知の魔力情報を追っていく。


 しかし、その直後だった。


『警告』


(……え?)


『魔力消費量が急速に増加しています』


(マジ!?)


 ユウトは初めて、自分の魔力が想像以上の速度で消耗していることに気付いた。


『接続維持限界まで――』


(待て待て待て!)


『切断を推奨』


(分かった!)


 ユウトは慌てて魔力を切断した。


 その瞬間、失われていた感覚が一気に戻ってくる。


「――っ!」


 足元には魔法陣。


 目の前には、心配そうにこちらを見つめる仲間たちの姿があった。


「はぁ……はぁ……」


 ユウトはその場に膝をつき、荒い呼吸を繰り返した。


「ユウト!」


「主!」


 シエルとシアが慌てて駆け寄ってくる。


「大丈夫?」


「……大丈夫」


 ユウトは何度か深呼吸をして、ようやく顔を上げた。


「それより……多分、見つけた」


「……?」


 その言葉に、ルミナの表情が変わった。


「別の空間を?」


「まだ分かんないけど……」


 ユウトは頷き、先ほど感じたものを思い返す。


「俺たちがいるところとは、明らかに違う何かがあった。補佐機構も別空間の可能性があるって」


「……そうですか」


 ルミナは静かに魔法陣へ視線を落とした。


 その表情は穏やかだったが、ユウトの報告を慎重に受け止めているようだった。


「では、第三段階も始まりましたね」


「……始まった?」


 ユウトは思わず聞き返す。


 別の空間らしきものを見つけたのだから、少しくらい進んだと思いたかった。


 しかし、ルミナの説明は続いた。


「まだ見つけただけです」


「…………」


 嫌な予感がした。


「……次は?」


「その空間が何なのかを特定し、座標を固定します」


「……はい」


「その後――」


「まだあるの?」


「道を繋ぎます」


「…………」


 ユウトはしばらく黙り込み、それからゆっくりと天井を見上げた。


「空間転換(クロノシフト)……覚えること多すぎない?」


「失われた魔法ですから」


「ですよねぇ……」


 ユウトは力なく肩を落とした。


 空間の境界を認識し、そこへ魔力を接続する。


 そして、狭間から異なる空間を探し出し、座標を固定して道を繋ぐ。


 思っていた以上に複雑な魔法だったが、ここまで進んできたことも事実だった。


 まだ空間転換(クロノシフト)を使えるようになったわけではない。


 それでも、一歩、また一歩とユウトは確実に、失われた魔法へ近付いていた。

第250話を読んでいただきありがとうございます!


今回明らかになった、空間転換(クロノシフト)の仕組み。


狭間を移動するのではなく、異なる二つの空間を一時的に接続し、その間に「道」を作る魔法でした。


そしてユウトは、狭間の中から現在いる世界とは異なる魔力情報を発見!


まだ何の空間なのかは分かりませんが、空間転換(クロノシフト)習得へ向けて大きく前進しました。


次なる課題は、その空間の正体を特定し、座標を固定すること。


果たしてユウトが見つけたものは、探し求めていた空間なのでしょうか。


次回もぜひお楽しみに!


「面白い!」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、ブックマークや評価で応援していただけると、とても励みになります!


それでは、また次回お会いしましょう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。