第二十五話 ゴブリンの集落
第二十五話です!
行方不明事件を追うユウトたちは、ついに森の奥でゴブリンの集落を発見します。
ですが、どうやら想像していた状況とは少し違うようで……。
補佐機構が反応を示した方向へ進むこと数分。
ユウトたちは足を止めていた。
「見えた」
小声で呟く。
木々の隙間。
その先に小さな集落があった。
◇
粗末な木の柵。
簡素な小屋。
焚き火の跡。
まるで小さな村のようだった。
「ゴブリン?」
「たぶん」
シエルが頷く。
集落の中には小柄な人影が見える。
緑色の肌。
尖った耳。
間違いない。
ゴブリンだった。
◇
だが。
ユウトは違和感を覚えていた。
「なんか思ってたのと違うな」
「何が?」
シエルが小声で尋ねる。
ユウトは集落を見回した。
「もっと野生っぽいと思ってた」
「野生?」
「こう……好き勝手に動き回ってるというか」
だが実際は違う。
木を運ぶ者。
火を起こす者。
周囲を警戒する者。
どちらかと言えば。
生活している。
そんな印象だった。
「意外とちゃんとしてるんだな」
「偏見ね」
「そうか?」
ユウトは首を傾げた。
◇
「人間は?」
ユウトが周囲を見渡す。
すると。
シエルが一点を指差した。
「あれ」
視線の先。
柵の内側に人影が見える。
数人。
ロープで拘束されている。
◇
「いたな」
「ええ」
生きている。
少なくとも見た限りでは。
傷はある。
疲れてもいる。
だが生存していた。
「助ける?」
シエルが聞く。
ユウトは少し考えた。
◇
「……その前に」
「ん?」
「なんで生かしてるんだ?」
そこだった。
襲ったのなら殺せばいい。
食料ならもっと別の扱いになるはずだ。
だが。
ゴブリンたちは捕らえた人間を生かしている。
◇
「理由がある?」
「たぶん」
シエルも同意した。
少なくとも。
ただの略奪ではなさそうだった。
◇
その時だった。
集落の奥から。
一際大きな影が現れる。
普通のゴブリンより頭一つ大きい。
粗末ながらも装飾の付いた槍を持っている。
「あれは?」
「長かもしれない」
シエルが小さく呟く。
◇
ゴブリンたちは道を開く。
まるで。
その存在を敬うように。
大きなゴブリンは捕らえた人間たちを見回し。
そして。
森の奥を見つめた。
どこか警戒するように。
怯えるように。
◇
「……なんか変だな」
ユウトは眉をひそめる。
あれは人間を恐れている顔ではない。
もっと別の何かを恐れている。
そんな風に見えた。
◇
そして次の瞬間。
ゴブリンの長がこちらを振り向いた。
目が合う。
一瞬だった。
だが。
ゴブリンの長は確かに反応した。
驚愕。
困惑。
そして――恐怖。
◇
「見つかった?」
「ええ。多分あなたを見てる」
シエルが答える。
ユウトは首を傾げた。
だが。
ゴブリンの長の視線は。
ユウトから離れなかった。
第二十五話を読んでいただきありがとうございました!
ついにゴブリンたちの集落へ辿り着きました。
ユウトが思っていたよりも組織的に生活しているゴブリンたち。
そして生きていた行方不明者たち。
どうやら今回の事件は、単純な魔物討伐では終わらなさそうです。
そして最後に現れたゴブリンの長。
彼が見せた反応には、一体どんな意味があるのでしょうか。
次回、少しずつ事件の核心へ近付いていきます!
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