第二十四話 残された痕跡
第二十四話です!
森の奥へと進むユウトたち。
少しずつ見つかる痕跡。
そして深まる違和感。
行方不明事件の真相は、思っていたより単純ではないのかもしれません。
足跡を追い始めてからしばらく。
ユウトたちは森の奥へ進んでいた。
足跡は一つではない。
あちらにも。
こちらにも。
同じような足跡が残されている。
「思ったより多いな」
「群れでしょうね」
シエルが周囲を見渡す。
「ゴブリンって群れるのか?」
「群れるわ」
「へぇ」
また一つ賢くなった。
◇
足跡を追い続ける。
すると。
ユウトの足が止まった。
「なんだこれ」
草むらの奥。
壊れた木箱が転がっていた。
近付いてみる。
「荷物?」
「みたいね」
木箱には大きな爪痕が残っていた。
周囲には散乱した袋や道具。
かなり慌てて逃げたように見える。
◇
「解析」
《木製運搬箱》
《破損から約七日》
「珍しく仕事したな」
《肯定》
「褒めてない」
補佐機構は相変わらずだった。
◇
さらに周辺を調べる。
すると。
シエルが地面から何かを拾い上げた。
「これ」
「ん?」
小さな金属製の札だった。
傷だらけになっている。
「なんだ?」
「冒険者証ね」
ユウトは受け取る。
確かにギルドで見たものと似ていた。
名前までは読めない。
だが。
「本当にいたんだな」
行方不明者。
その存在が急に現実味を帯びた。
◇
森の奥から風が吹く。
どこか嫌な匂いがした。
「血か?」
「少しだけ」
シエルが頷く。
ユウトの表情も真剣になる。
◇
だが。
そこでふと違和感を覚えた。
「なぁ」
「何?」
「おかしくないか?」
シエルが首を傾げる。
「何が?」
「もしゴブリンが襲ったならさ」
ユウトは周囲を見る。
「もっと血とかあってもよくないか?」
荷物は壊れている。
争った形跡もある。
だが。
死体がない。
血痕もほとんどない。
◇
シエルも周囲を見渡した。
「言われてみれば」
「だろ?」
「普通ならもっと痕跡が残る」
ユウトは腕を組む。
考える。
そして。
「もしかして」
「ええ」
シエルも同じ結論に辿り着いたらしい。
◇
「生きてる?」
「かもしれない」
その言葉に。
森の空気が少しだけ変わった気がした。
行方不明者は既に死んでいる。
そう思っていた。
だが。
もし生きているのなら。
◇
《前方に複数の反応を確認》
補佐機構の声が響く。
ユウトとシエルが同時に顔を上げる。
《距離約三百メートル》
「人か?」
《判別不能》
ユウトはシエルを見る。
シエルも頷いた。
そして二人は。
反応のある方向へ静かに走り出した。
第二十四話を読んでいただきありがとうございました!
今回は調査回でした。
壊れた荷物。
残された冒険者証。
そして不自然なほど少ない痕跡。
ゴブリンの存在が見え始めましたが、どうやら単純な討伐依頼ではなさそうです。
そして補佐機構が珍しく少しだけ仕事をしました。
本当に少しだけですが。
次回はいよいよ反応の正体へ迫ります!
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