第二十三話 森の違和感
第二十三話です!
行方不明事件の調査を進めるユウトたち。
一見すると平和な森ですが、どうやら少しずつ違和感が見え始めるようです。
そして今回、初めて事件の手掛かりらしきものが――。
森へ足を踏み入れてから一時間ほど。
今のところ何も起きていなかった。
「平和だな」
「そうね」
「本当に行方不明者とか出てるのか?」
「出てるから依頼になってるんでしょう」
その通りだった。
だが。
平和すぎる。
それが逆に不気味だった。
◇
ユウトは周囲を見渡す。
木々。
草。
鳥の鳴き声。
一見すると普通の森だ。
だが。
「なんか変なんだよな」
「あなたもそれくらいは感じるのね」
シエルが足を止めた。
「おう!………時々ディスってくるよね」
とはいえ上手く言葉にできない。
だが何かがおかしい。
そんな感覚だけがあった。
◇
《周辺環境を再解析します》
補佐機構の声が響く。
珍しくやる気らしい。
《生態系密度を確認》
「生態系密度?」
《低下を確認》
「つまり?」
《魔物が少ない》
ユウトは周囲を見回した。
言われてみれば。
確かに見ない。
ホーンウルフどころか。
小動物すらほとんど見かけなかった。
「俺に恐れをなして逃げた?」
「逃げたのはそうでしょうけど、あなたが原因では絶対ないわね」
シエルは呆れたように呟く
《否定》
シエルと同時に補佐機構にも否定される。
「お前らなぁ!」
◇
さらに進む。
すると。
シエルがしゃがみ込んだ。
「これ」
「ん?」
地面を指差している。
ユウトも近付いた。
「足跡?」
「ええ」
人のものではない。
獣とも違う。
妙な形だった。
◇
「解析できるか?」
《解析開始》
少しの沈黙。
そして。
《未知の足跡です》
「役に立たねぇ!!」
《データ不足》
「最初からそう言え!」
補佐機構は今日も補佐機構だった。
◇
シエルは足跡を見つめている。
「知ってるか?」
「たぶん」
「たぶん?」
「見たことはある」
珍しく歯切れが悪い。
「何なんだ?」
シエルは少し考える。
そして。
「ゴブリンかもしれない」
その言葉に。
ユウトは首を傾げた。
「ゴブリン?」
もちろん聞いたことはある。
RPGでは定番の魔物だ。
だが。
「こんな街の近くにいるものなのか?」
「普通はいない」
シエルの表情が少し険しくなる。
「だから変なのよ」
◇
足跡は森の奥へ続いていた。
まるで。
何かへ誘うように。
ユウトは足跡の先を見つめる。
「ますます気になるな」
「でしょうね」
即答だった。
そして二人は。
足跡を追って森の奥へ進んでいくのだった。
第二十三話を読んでいただきありがとうございました!
森の中は静かでした。
ですが、その静けさこそが違和感の正体だったのかもしれません。
そして見つかった謎の足跡。
シエルは何か心当たりがあるようですが、どうやら普通の状況ではなさそうです。
それにしても、補佐機構は相変わらず補佐機構でしたね。
次回はいよいよ足跡を追跡開始!
少しずつ行方不明事件の真相へ近付いていきます。
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