第二十二話 行くなと言われるほど
第二十二話です!
気になったら止まれない。
そんなユウトは、周囲の心配をよそに行方不明事件の調査へ向かいます。
今回はいよいよ問題の森へ――。
翌朝。
ユウトは迷うことなくギルドへ向かっていた。
「行くのね」
隣を歩くシエルが言う。
「そりゃぁもちろん!」
「知ってた」
即答だった。
もはや隠す気もない。
◇
ギルドへ入る。
受付嬢はこちらを見るなり頭を抱えた。
「やっぱり来ましたね……」
「失礼だな」
「行く気ですよね?」
「ちょっと気になるだけだって」
「その顔は絶対行く人の顔です」
どんな顔だ。
ユウトは少し傷付いた。
◇
「受注停止中なんですよ?」
「知ってる」
「危険なんですよ?」
「知ってる」
「戻ってきてない人がいるんですよ?」
「知ってる」
受付嬢は大きくため息をついた。
「どうして行こうとするんですか……」
その問いに。
ユウトは少し考えた。
「気になるから?」
受付嬢は天を仰いだ。
◇
結局。
正式な依頼ではなく、個人の判断で向かうことになった。
「本当に無理はしないでください」
「分かってる」
「絶対分かってないですよね?」
「信頼ないな俺」
「ありません」
即答だった。
ちょっと傷付いた。
◇
街を出る。
森へ続く道を歩きながら、ユウトは伸びをした。
「冒険って感じだな」
「そうね」
「反応薄くない?」
「いつも通りでしょ?」
それもそうだった。
◇
しばらく歩いた頃。
シエルがふと思い出したように言った。
「そういえば」
「ん?」
「あなた、角と尻尾をずいぶん上手く隠せるようになったわね」
ユウトが止まる。
「え?」
「最初はもっと目立ってたけど」
「マジで?」
「マジ」
初耳だった。
「なんで教えてくれなかったんだよ」
「聞かれなかったもの」
どこかで聞いたような返答だった。
「お前もかよ!」
思わず叫ぶ。
補佐機構と同じ回答だった。
◇
「でも今はほとんど分からないわ」
「そうなのか」
「ええ」
シエルは少しだけユウトを見る。
「人化が安定してきてるんでしょうね」
「へぇ」
よく分からないが、悪いことではなさそうだった。
「嬉しい?」
「まぁな」
その瞬間。
マントの中で何かが揺れた。
「尻尾」
「え?」
「揺れてる」
ユウトが固まる。
慌てて後ろを見る。
「うそだろ……これじゃまるで犬みたいじゃん」
「まだ完全じゃないみたいね」
シエルは少しだけ笑った。
本当に少しだけだった。
◇
昼過ぎ。
二人は問題の森へ辿り着いていた。
見た目は普通の森だ。
木々が並び。
鳥の鳴き声も聞こえる。
「平和そうだけどな」
「そうね」
だが。
シエルの表情は少し真剣だった。
「でも静かすぎる」
「静か?」
言われてみれば。
鳥の声は聞こえる。
風の音もする。
だが何かが足りない。
そんな違和感があった。
◇
《周辺環境を解析中》
久しぶりに補佐機構が仕事をしていた。
《通常生態系との誤差を確認》
「誤差?」
《原因不明》
「お前も分からないのかよ」
《肯定》
役に立つのか立たないのか分からない。
だが。
どうやら本当に何かがおかしいらしい。
ユウトは森の奥を見つめた。
好奇心が刺激される。
そして。
そのまま一歩を踏み出した。
第二十二話を読んでいただきありがとうございました!
受付嬢の心配もむなしく、ユウトは問題の森へ向かうことになりました。
そして判明した新事実。
どうやらユウトの人化は少しずつ安定してきているようです。
……尻尾はまだ正直みたいですが。
次回からはいよいよ森の調査開始!
少しずつ行方不明事件の真相へ近付いていきます。
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