第二百三十四話 適応
初めての空中戦にも、驚くべき速さで順応していくユウト。
そして、戦っているのはユウト一人ではありません。
仲間たちとの連携で、ゴルダンを追い詰めます!
それでは、第234話をお楽しみください!
ギィンッ!!
上空で巨大な爪と拳が激突した。
『おらぁ!』
「ぐっ……!」
真正面から押し込まれ、ゴルダンの身体が後方へ弾かれる。
しかし、その動きは先ほどまでとは違っていた。
翼を大きく広げて無理に勢いを殺すのではなく、吹き飛ばされる力を利用するように身体を捻り、そのまま飛行する軌道を横へ変えていく。
『逃がすか!』
ユウトもすぐに追撃へ移った。
翼を傾け、尾で姿勢を調整しながらゴルダンの動きへ食らいついていく。
「ちっ……!」
ゴルダンの顔に苛立ちが浮かんだ。
そのまま身体を反転させると、今度は一気に高度を下げ始める。
急降下だった。
『下か!』
ユウトも迷うことなく身体を傾けた。
少し前までなら、ここでゴルダンを追い掛けても、思うように方向を変えられず地面へ一直線に突っ込んでいただろう。
だが、今は違う。
(翼を畳んで――)
ユウトは巨大な翼を身体へ寄せ、空気抵抗を減らした。
それだけで落下する速度が一気に増し、先行するゴルダンとの距離がみるみる縮まっていく。
(……もう少し)
眼下には険しい山肌が迫っていた。
その直前で、ゴルダンが鋭く軌道を変える。
『ここ!』
ユウトも即座に翼を大きく開いた。
バサァッ!!
翼が大量の空気を受け止め、急降下していた巨体の進行方向が鋭く変化する。
地面へ向かっていた力を横へ逃がすことで、ゴルダンとほとんど同じ軌道を描いたのだ。
「なにっ!?」
驚いて振り返ったゴルダンの目の前には、すでに巨大な黒い竜の姿があった。
『追いついた!』
ユウトは勢いを殺すことなく、巨大な爪を振り抜いた。
「ぐっ!」
ゴルダンが咄嗟に腕を上げる。
ドガァンッ!!
鋭い爪が防御ごと叩き込まれ、その衝撃でゴルダンの身体が横へ大きく吹き飛ばされた。
『まだだ!』
しかし、ユウトはそこで止まらなかった。
翼を一度強く打ち、再び加速する。
ゴルダンが右へ曲がれば、その動きに合わせて右へ。左へ逃れれば同じように軌道を変え、上昇すれば翼を傾けて追い掛けていく。
そして、次に急降下しようとしたところで、ユウトは一気に距離を詰めた。
『そこ!』
「っ!」
ゴルダンが振り返った時には、すでに巨大な爪が目前まで迫っていた。
「馬鹿な……!」
ぎりぎりのところで身体を捻り、どうにか攻撃を回避する。
しかし、鋭い爪先は頬のすぐ横を掠めていった。
「…………」
ゴルダンの表情が歪む。
ほんの少し前まで、この竜は真っ直ぐ飛ぶことしかできなかった。
急旋回しようとすれば大きく軌道が膨らみ、こちらが進む方向を変えるだけで、簡単に置き去りにすることができたのだ。
力も速度も、今のユウトの方が上回っている。
それでも空中戦の経験と技術の差があれば、十分に翻弄できていたはずだった。
ところが、今はその差さえ急速に埋まり始めている。
「僅かな間に……!」
『へへっ』
ユウトが楽しそうに笑った。
『慣れてきた!』
「貴様……!」
その返答を聞き、ゴルダンの顔から完全に余裕が消えた。
もはや、先ほどまでのように飛行技術だけで翻弄することは難しい。
そう判断したのか、ゴルダンは一度距離を取り、大きく両翼を広げた。
「ならば――」
次の瞬間、その身体から黒い魔力が一気に噴き出した。
『……っ!』
ユウトは反射的に距離を取る。
ゴルダンの周囲へ溢れた魔力は、そのまま霧散することなく、空中で凝縮を始めていた。
一つ、二つ、三つ。
小さな黒い塊が次々と形作られ、ゴルダンの周囲へ浮かび上がっていく。
「これならどうだ!」
気付けば、その数は無数と呼べるほどに増えていた。
『……なんだ、あれ』
大きさは拳ほどしかない。
しかし、一つ一つから感じられる魔力は決して小さくなく、ユウトは警戒するように翼を広げた。
「避けてみろ!」
ゴルダンが腕を振り抜く。
その瞬間、周囲に浮かんでいた黒い魔力弾が、一斉にユウトへ向かって放たれた。
『うおっ!?』
最初の一発が顔のすぐ横へ迫る。
ユウトは首を僅かに傾けて回避したが、その直後には二発目が飛来していた。
翼を傾け、身体を横へ滑らせることでそれを避ける。
さらに三発目が下から迫ってきたため、今度は一気に高度を上げた。
『っと!』
黒い光が身体のすぐ下を通り抜けていく。
(……さっきまでだったら絶対食らってたな!)
飛行技術が身に付いてきたおかげで、以前なら対応できなかった攻撃にも反応できている。
そのことが少し嬉しくなったユウトだったが、次の瞬間、あることに気付いた。
『……って、多くない!?』
魔力弾の攻撃が、まったく終わらないのだ。
十発、二十発と次々に飛来し、それを避けている間にも新たな黒い光が迫ってくる。
『ちょっ! 待て待て待て!』
「待つと思うか!」
『思わないけど!』
思わず言い返しながら、ユウトは翼を強く打って右へ逃れた。
しかし、ゴルダンはその動きを見ても、余裕を取り戻したように口元を歪めただけだった。
「無駄だ」
『……何?』
その時、ユウトの背後で異変が起きた。
すでに通り過ぎたはずの魔力弾が、空中で大きな弧を描いたのだ。
「…………」
ユウトの目が見開かれる。
『……おい』
試しに右へ曲がってみる。
すると、黒い魔力弾も同じように軌道を変えてきた。
『追ってくんのかよ!?』
「いつまで避け続けられる?」
『そういうの先に言えよ!』
「敵に説明を求めるな!」
『ごもっとも!』
自分でも無茶なことを言っていると分かりながら、ユウトは必死に空を駆けた。
まずは急上昇して背後の魔力弾を引きつけ、十分に距離を縮めさせたところで一気に下降する。
続けて左右から挟み込むように飛来した魔力弾の間を、身体を傾けながらすり抜けた。
急旋回からの反転、空中での急停止、そして即座の再加速。
先ほど覚えたばかりの飛行技術を、文字通り総動員して回避を続けていく。
(練習としては最高だけど……!)
しかし、背後を確認しても魔力弾が減っている様子はなかった。
むしろ、複雑な軌道を描きながら追い掛けてくる黒い光が、空を埋め尽くし始めている。
『多すぎだろ!』
「全て避ければ済む話だ」
『簡単に言うな!』
前方から迫った一発を横へ避けたところで、その先に二発の魔力弾が待ち構えていた。
『うおっ!』
ユウトは咄嗟に身体を捻り、翼を傾ける。
黒い光が翼のすぐ横を通過した。
(……このままじゃ)
避けることはできている。
しかし、それだけだった。
こちらから攻撃へ移る余裕はなく、逃げ続けている間にも、追尾する魔力弾の間隔が少しずつ狭まっている。
そして、そんなユウトの様子を見ていたゴルダンが、ゆっくりと手を握り締めた。
「…………!」
残っていた魔力弾が、一斉に軌道を変えた。
『うわっ!?』
左右、上下、そして背後。
あらゆる方向から黒い光が迫り、逃げ道を塞ぐように収束していく。
『くっ!』
ユウトは咄嗟に翼を傾け、強引にその包囲から抜け出そうとした。
だが、その瞬間だった。
バチッ!!
『痛っ!』
一発の魔力弾が左翼を掠めた。
黒い魔力が鱗の表面で弾け、鋭い痛みが走る。
致命傷ではない。
しかし、高速で飛行している今は、ほんの僅かな衝撃でも姿勢を崩す原因になる。
『うおっ……!』
ユウトの巨体が大きく傾き、翼が空気を上手く捉えられなくなった。
「終わりだ」
ゴルダンが低く呟く。
その言葉と同時に、残っていた魔力弾が全方向からユウトへ殺到した。
『くそっ――!』
回避が間に合わない。
そう思った、その時だった。
「ユウト!」
『……っ!』
下方から聞き慣れた声が届く。
直後――。
ズバァンッ!!
ユウトへ迫っていた魔力弾の一つが、銀色の斬撃によって真っ二つに切り裂かれた。
『シエル!』
銀色の髪をなびかせながら、一つの影がユウトの横を駆け抜ける。
「忘れてないでしょうね?」
シエルはそのまま空中で身体を翻し、次の魔力弾へ向けて剣を振り抜いた。
「私たちもいるのよ」
ズバッ!
黒い魔力弾が斬り裂かれ、空中で霧散する。
『助かった!』
「あーしもいるっす!」
今度は反対側から元気な声が響いた。
「シア!」
「せぇいっす!」
空へ飛び上がってきたシアが、迫っていた魔力弾へ回し蹴りを叩き込む。
ドンッ!!
強烈な蹴りを受けた魔力弾が、空中で弾け飛んだ。
「主だけにいいところ持っていかせないっすよ!」
『別に持っていこうとしてねぇよ!』
ユウトが思わず言い返した、その時だった。
「おい!」
遥か下方から大きな声が響いた。
『……ん?』
ユウトが見下ろすと、地上でリトが両手を口元へ当てて叫んでいた。
「俺だけ完全に仲間外れじゃねぇか!」
『いや、お前飛べないだろ!』
「アニキもさっきまで飛べなかっただろ!」
『俺には翼があるんだよ!』
「俺にはねぇよ!」
『だから言ってんだろ!』
「じゃあどうしろってんだ!」
『知らねぇよ!』
空と地上で、なんとも不毛な言い争いが始まった。
そんな二人を止めたのは、いつも通りシエルだった。
「二人とも!」
その声は、妙に冷たかった。
「戦闘中よ」
『…………はい』
「…………はい」
空中の巨大な竜と地上の剣士が、同時に黙り込む。
その光景を見ていたシアが、不思議そうに首を傾げた。
「なんで地上と空で一緒に怒られてるんすかね」
「知らないわよ」
シエルはため息を吐きながら、剣先をゴルダンへ向けた。
そして、その表情が再び引き締まる。
「それより、ユウト」
『ああ』
ユウトもすぐに意識を戦いへ戻した。
正面にはユウト、左側にはシエル、そして右側にはシア。
三人が自然と位置を取り、ゴルダンを囲む形になる。
「…………」
ゴルダンは三人を順番に見渡した。
しかし、その表情には苛立ちこそあれ、怯んだ様子はなかった。
「数が増えたところで!」
再びゴルダンの周囲へ黒い魔力が集まり、無数の魔力弾を形作っていく。
『……それ』
ユウトが巨大な翼を広げた。
『さっき自分で言ったよな!』
「何?」
『同じ手は――』
翼を強く羽ばたかせ、真正面から加速する。
『もう通用しない!』
黒い魔力弾が、一斉に放たれた。
『俺もだ!』
ユウトの声に応じるように、シエルとシアも同時に動き出した。
正面から飛来した一発をユウトが回避し、そのまま速度を落とさずゴルダンへ向かう。
「逃がさん!」
避けられた魔力弾が、追尾するように軌道を変えた。
だが、今度はユウト一人ではない。
「はぁっ!」
横合いからシエルの剣が一閃する。
ズバァンッ!
ユウトの背後へ迫っていた魔力弾が切り裂かれ、黒い光となって霧散した。
さらに、別方向からユウトの死角へ回り込もうとする魔力弾。
「させないっす!」
そこへシアが割り込んだ。
ドンッ!!
迫る黒い塊を拳で叩き落とし、ユウトの進路を確保する。
「なっ……!」
ゴルダンの視線が、一瞬だけ二人へ向けられた。
その僅かな隙を、ユウトは見逃さなかった。
『よそ見すんなよ!』
「っ!」
ゴルダンが振り返った時には、すでに巨大な爪が目前まで迫っていた。
「くっ!」
咄嗟に両腕を交差させ、防御の姿勢を取る。
ドガァンッ!!
「ぐぅっ!」
真正面から叩き込まれた爪が、ゴルダンの身体を押し込んでいく。
力比べになったが、今度も押し負けたのはゴルダンだった。
その身体が、凄まじい勢いで地上へ向かって弾き飛ばされる。
『シエル!』
「分かってる!」
すでにシエルは、落下するゴルダンの下方へ回り込んでいた。
剣を構え、迫る身体へ照準を合わせる。
「はぁっ!」
銀色の剣閃が、落下してきたゴルダンへ襲い掛かった。
ギィンッ!
「ぐっ!」
ゴルダンは咄嗟に腕で受け止めたが、その衝撃によって身体が横へ大きく弾かれた。
「こっちっすよ!」
「なにっ――」
その先には、すでにシアが待ち構えていた。
「せぇいっ!」
ドガッ!!
勢いを乗せた強烈な蹴りが、ゴルダンの腹部へまともに突き刺さる。
「がっ!」
衝撃に身体が折れ曲がり、今度は上空へ向かって打ち上げられた。
「…………!」
そして、その先には巨大な黒い影が待っていた。
『ナイス!』
「貴様ら……!」
ゴルダンが顔を上げるより早く、ユウトは空中で大きく身体を回転させた。
長く力強い尾が、遠心力を乗せて大きくしなる。
『これが――』
ゴルダンの目が見開かれた。
『俺たちの戦い方だ!』
ドガァァァァンッ!!
「ぐああああっ!!」
巨大な尾が、ゴルダンの身体を真正面から捉えた。
その一撃で、ゴルダンは凄まじい速度で地上へ向かって叩き落とされる。
ズドォォォンッ!!
岩肌へ激突した瞬間、山岳地帯を揺るがすほどの衝撃が広がった。
地面が大きく陥没し、砕けた岩と大量の土煙が周囲へ吹き上がる。
「…………」
上空では、ユウト、シエル、シアの三人が土煙の中心を見つめていた。
先ほどの連携攻撃は、確かに決まった。
それも、ゴルダンへ反撃する余裕をほとんど与えないほどの連続攻撃だった。
ユウトはしばらく様子を窺った後、ぽつりと呟いた。
『……やったか?』
「ユウト」
『え?』
シエルの声が妙に冷たかった。
「いつも言ってるけど」
『何?』
「そういうこと言わない方がいいわ」
『なんで?』
「大体やってないからよ」
『そんなお約束ある!?』
ユウトが思わず叫んだ、その直後だった。
ドンッ!!
地上に立ち込めていた土煙が、内側から一気に吹き飛ばされた。
『ほらぁ!!』
「だから言ったでしょう」
『シエルが言うからじゃないの!?』
「私のせいにしないで」
「主、見事なフラグ回収っす」
『フラグとか言うな!』
「ところでフラグって何すか?」
『お前が言ったんだろ!?』
「何となくっす」
『何となくで使うな!』
「ユウト」
『はい。前見ます』
シエルに名前を呼ばれた瞬間、ユウトは素直に地上へ視線を戻した。
先ほどまでの軽いやり取りとは裏腹に、土煙の向こうから感じられる魔力は、まったく衰えていなかった。
「…………」
そして、舞い上がった砂埃の中から、ゆっくりと一つの影が立ち上がった。
「……認めよう」
聞こえてきたのは、ゴルダンの低い声だった。
しかし、その響きはこれまでとは明らかに違っていた。
「貴様らは――強い」
『…………』
その言葉を聞いた瞬間、ユウトの表情から笑みが消えた。
土煙の向こうに立つゴルダンの身体からは、先ほどまで以上に濃い黒色の魔力が立ち昇っている。
しかも、その量は時間とともに増え続けていた。
「でも……」
シエルが目を細める。
「様子がおかしい」
『……ああ』
ユウトも、ゴルダンの様子が先ほどまでとは違うことに気付いていた。
そして次の瞬間、それまで身体の外へ噴き出していた黒い魔力が、突然逆流するようにゴルダンの身体へ吸い込まれ始めた。
『……なんだ?』
「…………」
異変は、すぐにその身体へ現れた。
ゴルダンの両腕が膨れ上がり、皮膚の下で筋肉が異常なほど盛り上がっていく。
指先からは黒い爪が伸び、これまで人間に近かった肌の色も、少しずつ黒く硬質なものへ変化していった。
「……変身?」
シアが小さく呟く。
だが、変化はまだ終わらなかった。
ゴルダンの背中から翼がさらに大きく広がり、骨格そのものが変わるような鈍い音が響く。
身体は一回りほど大きくなり、先ほどまでとは比較にならないほどの威圧感を放ち始めた。
「ぐっ……!」
ゴルダン自身も苦しそうに身体を丸める。
しかし、変化が止まる様子はない。
額のこめかみ付近から角のような突起が伸び、顔つきも次第に変わっていく。
それは、先ほどまでの人型から、より魔族らしく、より異形の存在へと近付いていくような変貌だった。
黒く硬質な肌、鋭く伸びた爪、そして巨大な翼。
その姿は、先ほどまでとは比べものにならないほど禍々しいものになっていた。
「…………」
地上から見上げていたリトも、思わず言葉を失っていた。
「……まだ上がんのかよ」
その声が届いたのかどうかは分からない。
ゴルダンはゆっくりと顔を上げ、赤く染まった瞳で上空の三人を捉えた。
「だが――」
その声さえ、先ほどより僅かに低くなっていた。
「だからこそ――」
身体の内側へ吸い込まれていた黒い魔力が、今度は全身の表面を覆い始める。
「我も――」
ゴルダンが巨大な翼を広げた。
「全てを出そう」
「…………」
その瞬間、山岳地帯の空気が一段と重くなった。
直接触れているわけでもないのに、肌へ圧力が掛かるような感覚がある。
先ほどまでのゴルダンとは、明らかに違っていた。
『……まだ変身残してたのかよ』
ユウトが思わず呟いた。
それを聞いたゴルダンの口元が、不気味に歪む。
「ここからが――本当の戦いだ」
「…………」
その言葉に、ユウトは僅かに首を傾げた。
『……それさ』
「何だ?」
『さっきも聞いた気がするんだけど!?』
「…………」
ゴルダンの眉が僅かに動いた。
「……黙れ」
『図星!?』
「主、怒らせたっす」
「あなたは本当に緊張感を維持できないのね」
『いや、だって二回目だぞ!?』
ユウトが思わず抗議した、その直後だった。
ドォンッ!!
ゴルダンの身体から、これまでとは比較にならないほどの魔力が爆発するように噴き出した。
『うおっ!?』
三人は反射的に距離を取った。
吹き荒れる黒い魔力が周囲の空気を激しく震わせ、眼下の大地へと凄まじい圧力を叩きつける。
山肌からはいくつもの岩が崩れ落ち、巻き上がった砂埃が激しい風に乗って広がっていった。
「…………」
ユウトは、その中心に立つゴルダンを正面から見据えた。
口元にはまだ僅かな笑みが残っていたが、その目はもう一切笑っていなかった。
冗談を言っている場合ではない。
今のゴルダンから感じられる魔力は、明らかにそれまでとは別物だった。
(……なるほどな)
ユウトはゆっくりと翼を広げ、改めて構えを取った。
どうやら本当に、ここから先がゴルダンとの戦いの本番らしい。
第234話を読んでいただきありがとうございます!
ついさっきまで飛ぶのが絶望的に下手だったはずのユウト。
しかし、戦いの中で瞬く間に適応し、ついにはゴルダンを追い詰めるまでになりました!
さらにシエル、シアとの連携も加わり、戦況はユウトたちへ傾き始めます。
……が。
ゴルダンにも、まだ全てを出し切っていない理由があったようです。
その異形の姿が意味するものとは。
いよいよ戦いは最終局面へ!
次回もぜひお楽しみに!
「面白い!」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、ブックマークや評価で応援していただけると、とても励みになります!
それでは、また次回お会いしましょう!




