第二百十話 遺された記録
静まり返った地下遺跡。
そこには、長い時を超えてなお失われていないものが残されていました。
それでは、第210話をお楽しみください!
ユウトたちは慎重に地下通路を進んでいた。
長い年月、人の手が入っていないはずの遺跡。
それにもかかわらず、不思議なことに崩落はほとんど見られなかった。
「まるで昨日まで誰かが管理してたみたいっすね……」
シアが壁を指でなぞる。
積もっている埃は厚い。
だが石壁そのものは驚くほど綺麗な状態を保っていた。
「確かに妙だな」
リトも辺りを見回す。
「普通ならもっと崩れててもおかしくねぇ」
シエルは静かに床へ視線を落とした。
「……魔力」
「え?」
「この遺跡全体から微弱な魔力を感じるわ。」
ユウトも意識を集中する。
すると確かに、空気の中へ溶け込むような魔力が絶え間なく流れているのを感じた。
◇
《周囲環境を解析》
《古代文字解析率 24.7%》
《未知魔力解析率 14.3%》
◇
「また上がった」
解析速度は地上とは比べものにならない。
歩くだけで情報が蓄積されていく。
「やっぱり、この遺跡そのものが解析の鍵っぽいな」
その時だった。
「ユウト、あそこ」
シエルが指差す。
通路の途中に、大きな石碑が立っていた。
高さは三メートルほど。
全面に古代文字が刻まれている。
「なんだか妙にデカいな……。」
ユウトは石碑へ近づく。
◇
《大量の古代情報を検知》
《解析を加速します》
◇
文字が淡く輝き始めた。
◇
《古代文字解析率 31.9%》
◇
「一気に……」
だが、まだ読むことはできない。
断片的な単語だけが頭へ流れ込んでくる。
『……世界』
『……契約』
『……境界』
意味までは繋がらない。
まるで完成途中の文章だった。
「読めるのか?」
リトが尋ねる。
「いや……単語だけだ」
ユウトは首を横に振った。
「でも、あと少しで何かが分かりそうな気がする」
その瞬間――
ゴゴ……
低い振動が足元を伝った。
全員が身構える。
「今のは……」
シアが辺りを見回す。
しかし通路には誰もいない。
音だけが地下深くへ響いていく。
ユウトは石碑へ手を添えた。
その直後――
◇
《未知生命反応を検知》
《対象数 1》
《接近中》
◇
「――来るぞ!」
ユウトの叫びと同時に、通路の奥の闇がゆっくりと蠢き始めた。
第210話を読んでいただきありがとうございます!
地下遺跡の探索はまだ始まったばかり。
少しずつ明かされる謎が、これからどのように物語へ繋がっていくのか、ぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです!
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それでは、また次回お会いしましょう!




