第二百六話 救うために
いつもお読みいただきありがとうございます!
穏やかに進んでいた帝国での日々。しかし、その裏では静かに異変が広がり始めていました。
ユウトが見たもの、そして下した決断とは――。
それでは、第206話をお楽しみください!
ユウトは重い足取りで執務室を後にした。
扉が静かに閉まる。
それでも先程の光景が頭から離れなかった。
あの黒い霧。
あの声。
そして、苦しそうな皇帝の表情。
(あれは……普通じゃない。)
廊下を歩いていると、シエルたちが待っていた。
「お帰りなさい。深刻な顔してどうしたの?あなたらしくもない」
「何かあったっすか?」
シアが心配そうに駆け寄る。
ユウトは周囲を見渡し、小さく頷いた。
「場所を変えよう」
◇
王城の中庭。
人目の少ない場所まで移動すると、ユウトは静かに口を開く。
「……陛下の様子がおかしかった。」
三人の表情が引き締まる。
ユウトは補佐機構が検知した内容も含め、執務室で起きた出来事をすべて話した。
話を聞き終えたリトは腕を組む。
「精神干渉、か」
「心当たりがあるの?」
シエルが尋ねる。
「いや、そういう訳じゃねぇんだが」
「…普通の魔法じゃねぇことだけは分かる」
「俺でもあんな気配は知らねぇ」
その一言で空気がさらに重くなる。
◇
《解析中》
《未知魔力解析率 0.3%》
《継続観測を推奨》
補佐機構が静かに告げる。
(まだ分からないか……)
ユウトは拳を握った。
「でも、一つだけ分かった」
三人がユウトを見る。
「陛下は敵じゃない」
「みんな…何があっても手を出すなよ」
迷いのない声だった。
シエルは静かに頷く。
「そうね」
リトも鼻で笑う。
「最初から敵なら、お前なんかとっくに手ぇ出してるだろ」
「だな」
ユウトは笑みを浮かべる。
「だったら助ける。それだけだ」
その言葉にシアが満面の笑みを浮かべた。
「もちろんっす!」
「主が助けるなら、私も助けるっす!」
シエルも静かに一歩前へ出る。
「私も」
リトは肩を竦める。
「ったく……面倒事ばっか増やしやがる」
そう言いながらも、その口元には笑みが浮かんでいた。
◇
その頃――。
王城の最深部。
誰もいない暗い一室。
黒い霧が静かに蠢く。
『……終焉竜』
低く響く、不気味な声。
『復活していたのか』
霧はゆっくりと笑うように揺らめいた。
誰にも知られることなく。
静かに、その時を待ちながら――。
最後までお読みいただきありがとうございました!
今回は、ユウトたちが皇帝を「敵」ではなく「救うべき存在」として向き合う決意を固める一話となりました。
一方で、物語の裏では新たな存在も動き始めています。
少しずつ繋がっていく伏線が、どのような真実へと繋がるのか――。
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それでは、また次回お会いしましょう!




