第二百五話 忍び寄る異変
いつもお読みいただきありがとうございます!
帝国での調査は少しずつ進む一方、静かだった日常にも異変の兆しが現れ始めます。
穏やかな時間の裏で動き出す、不穏な気配――。
それでは、第205話をお楽しみください!
近衛騎士の案内を受け、ユウトたちは王城の廊下を歩いていた。
「陛下はお一人ですか?」
「はい。本日はユウト様のみとの面会となります」
「俺だけ?」
「他の皆様には、こちらでお待ちいただきます」
ユウトはシエルたちへ振り返る。
「すぐ戻るよ」
「ええ」
「何かあったらすぐ呼ぶっす!」
「呼ばれなくても行くけどな」
リトが肩を竦める。
ユウトは苦笑しながら執務室の扉を叩いた。
「入りたまえ」
中から聞こえてきたのは、いつもの穏やかな声だった。
「失礼します」
「よく来てくれたね」
皇帝は笑みを浮かべ、ユウトを迎える。
机には紅茶と菓子が用意されていた。
「図書館はどうだったかな?」
「まだ解読は断片的ですが、興味深い資料ばかりでした」
「そうか。それは良かった」
皇帝はどこか安心したように微笑む。
「古代文字は昔から多くの学者が挑んできた。だが今なお、その大半が謎のままだ」
「もし何か分かったことがあれば、遠慮なく教えてほしい」
「……はい」
ユウトは静かに頷いた。
(悪い人じゃない)
(だからこそ……まだ話すわけにはいかない)
◇
その時だった。
カタッ……
ティーカップが小さく震える。
「陛下?」
返事はない。
皇帝は俯いたまま動かない。
◇
《警告》
突然、補佐機構の声が頭へ響いた。
《未知の魔力反応を検知》
(未知……?)
《データベース照合開始》
《検索中……》
《該当データなし》
《解析不能》
◇
その瞬間。
皇帝の身体から黒い霧がゆっくりと立ち上る。
「……消せ」
低く、感情のない声。
ユウトの背筋が凍る。
「陛下……?」
「全て……消してしまえ」
ゆっくりと顔を上げる。
その瞳は、一瞬だけ漆黒へと染まっていた。
◇
《危険》
《精神干渉型魔力を確認》
《危険度――測定不能》
《直ちに対象から距離を取ることを推奨します》
◇
ユウトは思わず一歩後ずさる。
(何だ……これは)
次の瞬間だった。
「ぐっ……!」
皇帝は頭を押さえ、その場へ膝をつく。
黒い霧が揺らぎ、ゆっくりと霧散していく。
「はぁ……はぁ……」
荒い呼吸。
苦しそうに額を押さえながら、小さく息を吐いた。
「……すまない」
「最近、時折こうして頭痛に襲われることがあってね」
苦笑を浮かべるその姿は、先程までとは別人だった。
ユウトは何も言えない。
ただ一つだけ確信する。
(陛下の身に何か起きてるな)
補佐機構が静かに告げた。
◇
《未知の魔力反応を記録》
《継続観測対象に設定》
《解析を開始します》
解析率――
0.1%
最後までお読みいただきありがとうございました!
今回は、帝国に潜む異変が少しずつその姿を現し始めました。
補佐機構ですら解析できない未知の魔力。その正体とは一体何なのか。
そして、皇帝の身に起きている異変は、今後どのような展開を迎えるのか――。
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それでは、また次回お会いしましょう!




