第二十話 気になる依頼
第二十話です!
冒険者としての生活が少しずつ始まったユウト。
依頼を探すため、今日もギルドへ向かいます。
ですが、どうやら気になる依頼を見つけてしまったようで……?
翌朝。
ユウトは見慣れない天井を見上げていた。
「……あ」
宿だった。
柔らかいベッドだった。
最高だった。
「洞窟よりいいな……」
そう呟いた瞬間。
《進化条件を更新しました》
「そうだった」
昨夜のことを思い出す。
「なぁ」
《回答可能》
「進化条件ってなんだ?」
《権限不足》
「お前さぁ……」
思わず頭を抱えた。
「説明する気ある?」
《条件不足》
「会話にならねぇ」
補佐機構は今日も補佐する気がなかった。
◇
部屋を出ると。
既にシエルが待っていた。
「遅い」
「今起きた」
「そんな寝癖つけてれば言われなくても分かるわよ」
身だしなみくらいはちゃんとしようと、ユウトは心に誓った。
◇
朝食を済ませた二人はギルドへ向かう。
依頼を探すためだ。
「今日はどうする?」
「依頼探し以外に何か?」
「だよな」
生活費が必要である。
現実は厳しい。
◇
ギルドへ入ると。
受付嬢がこちらに気付いた。
「あ、おはようございます」
「おはようございます」
ユウトも挨拶を返す。
少しだけ顔見知りになった気がする。
「今日は依頼ですか?」
「その予定です」
「無理はしないでくださいね?」
「大丈夫ですって」
受付嬢は少し困ったように笑った。
「新人さんほどそう言うんですよ」
「信用ないな俺」
「昨日の成果を見たら余計にです」
それは確かにそうかもしれない。
◇
依頼掲示板を眺める。
薬草採取。
荷物運搬。
ホーンウルフ討伐。
「またホーンウルフあるぞ」
「人気だから」
「人気なのかあれ」
ユウトは少し引いた。
あまり思い出したくない。
すると。
一枚だけ。
端に外された依頼書が目に入った。
「ん?」
何気なく手を伸ばそうとする。
しかし。
「それはダメです」
受付嬢の声が飛んだ。
思わず手を引っ込める。
「え?」
「受注停止中なんです」
珍しく真面目な表情だった。
ユウトは依頼書を見る。
調査依頼
南西の森にて行方不明者多数
現在受注停止
「行方不明?」
「はい」
受付嬢は小さく頷いた。
「調査に向かった冒険者も戻っていません」
「へぇ……えっ?」
ユウトは依頼書を見つめた。
「危険なんですか?」
「分かりません」
「分からない?」
「だから危険なんです」
その言葉に。
ユウトは少しだけ興味を持った。
◇
ギルドを出た帰り道。
「気になるんでしょ?」
シエルが尋ねる。
「ちょっとな」
「ちょっと?……まぁいいわ」
どことなくうずうずした顔のユウトに、シエルは呆れたような視線を向ける。
「さぁ」
シエルは空を見上げた。
「でも」
「ん?」
「あなた、どうせ行くんでしょう?」
ユウトは少し考える。
そして。
「……わかっちゃう?」
正直だった。
シエルは小さくため息をつく。
「知ってた」
その声は。
どこか少しだけ楽しそうだった。
第二十話を読んでいただきありがとうございました!
今回は少しだけ日常回でした。
初めての宿での朝。
顔見知りになりつつある受付嬢。
そして、受注停止となった謎の依頼。
危険だから近付くなと言われるほど、気になってしまうのがユウトという男です。
次回からは少しずつ行方不明事件の話が動き出す予定です!
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