第十九話 初めての買い物
第十九話です!
初めての依頼を終え、初めての報酬を手にしたユウト。
今回は少しだけ戦闘をお休みして、冒険者らしい日常回になります。
報酬を受け取ったユウトは、何度も銀貨を眺めていた。
「金だ……」
「そうね」
「俺の金だ……」
「そうね」
シエルの反応は薄い。
だがユウトは感動していた。
異世界へ来て初めて、自分の力で稼いだお金なのだ。
「何買おうかな」
「まず服」
即答だった。
「え?」
「服」
「いや、服あるぞ?」
シエルはユウトの服を見る。
ホーンウルフとの戦闘で破れた服。
腕には穴が開いている。
裾もボロボロだ。
「そんなボロボロの服着た人と一緒に歩きたくないんだけど」
「……はい」
反論できなかった。
◇
服屋へ向かう。
店内には様々な服が並んでいた。
「おぉ……」
少しテンションが上がる。
異世界らしい服もある。
冒険者向けの丈夫そうな服もある。
「これとかどうだ?」
ユウトが一着手に取る。
「高い」
値札を見たシエルが即答した。
「まだ見てないんだが?」
「高い」
見ていたらしい。
結局。
無難で丈夫な服を一着購入した。
銀貨が減った。
「思ったより金って減るな……」
「せいぜい無駄遣いしないことね」
シエルは容赦がない。
◇
その後。
二人は屋台通りを歩いていた。
すると。
香ばしい匂いが鼻をくすぐる。
「なんだこれ」
「串焼き」
「うまそう」
「そうね」
ユウトは迷わず購入した。
そして一口。
「うまっ!!」
思わず叫んだ。
肉汁が溢れる。
香辛料の香りも良い。
「うまい!」
「大袈裟」
シエルは呆れた顔をしている。
「絶対うまいから食ってみろって」
一本差し出す。
シエルは少し迷った後。
一口だけ齧った。
しばらく無言。
「どうだ?」
「……おいしい」
「だろ!?」
なぜかユウトが誇らしげだった。
◇
日が沈み始める。
「そういえば宿は?」
ユウトが尋ねた。
「まだ決めてない」
「洞窟じゃダメ?」
「いいと思ってるの?」
即答だった。
「ですよねー」
街に住むなら宿が必要だ。
当然と言えば当然だった。
そして二人は宿を探し始める。
今日一日だけでも色々あった。
初依頼。
初討伐。
初報酬。
初めての買い物。
冒険者になった実感が、少しずつ湧いてくる。
◇
その夜。
宿のベッドへ倒れ込む。
「疲れた……」
柔らかい。
洞窟の床とは大違いだった。
ユウトは天井を見上げる。
終焉竜。
レベル。
補佐機構。
分からないことだらけだ。
「まぁ、いっか」
考えても仕方ない。
今は眠い。
目を閉じる。
その瞬間だった。
《進化条件を更新しました》
「ん?」
ユウトが目を開く。
《条件不足》
「なんなんだよ……」
その言葉を最後に。
ユウトは深い眠りへ落ちていった。
第十九話を読んでいただきありがとうございました!
初めてのお金。
初めての買い物。
初めての宿。
少しずつですが、ユウトもこの世界での生活に慣れ始めています。
そして最後に現れた「進化条件」。
補佐機構は相変わらず説明不足ですが、どうやら何かが進んでいるようです。
次回もお楽しみいただけると嬉しいです!
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