第十八話 初めての報酬
第十八話です!
初めての依頼を終えたユウト。
討伐の成果を持ってギルドへ戻ります。
本人は普通だと思っていますが、どうやら周囲の評価は違うようで……?
街へ戻る頃には、空は少し赤く染まり始めていた。
ユウトはホーンウルフの耳が入った袋を肩に担ぎながら歩いている。
「重い……」
「自分で倒したんでしょう」
「そうだけどさ」
想像していた冒険者生活はもっと格好良いものだった。
少なくとも魔物の耳を袋いっぱいに詰めて運ぶ姿ではない。
◇
ギルドへ戻ると、受付嬢が笑顔で迎えてくれた。
「お帰りなさい。討伐証明はお持ちですか?」
「はい」
ユウトは袋をカウンターへ置く。
ドサッ。
受付嬢が中を見る。
そして固まった。
「……え?」
ユウトも固まる。
「え?」
しばらく沈黙が続いた。
やがて受付嬢が恐る恐る口を開く。
「これ……全部ホーンウルフの右耳ですか?」
「そうですけど」
さらに沈黙。
周囲の冒険者たちもざわつき始めた。
「おい」
「新人じゃなかったか?」
「一人でやったのか?」
そんな声が聞こえてくる。
ユウトは訳が分からなかった。
「多かったですか?」
受付嬢は数えながら答える。
「十二匹ですね」
「へぇ」
「へぇ、ではありません」
少し呆れた顔だった。
「通常は一匹から三匹程度です」
「え?」
「新人の初依頼ですよね?」
「はい」
ユウトは隣を見る。
シエルは知らん顔をしていた。
「いやでも、群れだったし……」
受付嬢は何とも言えない表情になった。
◇
しばらくして。
討伐報酬が支払われた。
銀貨が机の上に並ぶ。
「おぉ……」
ユウトの目が輝く。
「これ全部俺の?」
「依頼報酬ですから」
「すげぇ……」
異世界で初めて自分で稼いだお金だった。
思わず何度も眺めてしまう。
そんなユウトを見て、受付嬢は少し笑っていた。
◇
ギルドを出た帰り道。
「なぁシエル」
「なに」
「結構すごかったみたいだぞ」
「そうね」
反応は薄い。
「もうちょっと褒めろよ」
「褒めてほしいの?」
「少しくらい」
すると。
シエルは少しだけ考えた。
「よく頑張ったんじゃない?」
「おっ」
「初心者にしては」
「おっ」
「あなたが人間だったらね」
「おい」
台無しだった。
◇
しばらく歩いた後。
シエルがふと思い出したように言った。
「そういえば」
「ん?」
「レベルの話」
ユウトの足が止まる。
「どうした?」
「たぶん、その話は他人にしない方がいいと思う」
「え?」
「頭の中の機械? の話も」
ユウトは首を傾げた。
「なんで?」
「普通じゃないから」
シエルは真面目な顔で答える。
「もし知られたら、面倒なことになると思う」
「面倒?」
「研究されたり」
「怖っ!?」
「利用されたり」
「もっと怖っ!?」
ユウトは思わず身震いした。
「だから気を付けなさい。」
「お、おう……」
確かに。
言われてみれば普通ではない。
終焉竜。
レベル。
頭の中の謎の機械(機械ではないと思うけど…)。
どれも人には話さない方が良さそうだった。
そんなことを考えながら歩いていると。
ふと視界の端に依頼掲示板が見えた。
まだ受けていない依頼がたくさん並んでいる。
ユウトは少しだけ笑った。
冒険者生活は、まだ始まったばかりなのだから。
第十八話を読んでいただきありがとうございました!
初めての報酬獲得回でした。
ホーンウルフ十二匹討伐。
ユウト本人は「群れだったし」と思っていますが、どうやら新人冒険者としては普通ではなかったようです。
そしてシエルからの忠告。
レベルや頭の中の声の話は、この世界では決して当たり前ではありません。
少しずつ冒険者らしくなってきたユウトですが、まだまだ知らないことだらけです。
次回もお楽しみいただけると嬉しいです!
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