第十六話 初めての戦闘
第十六話です!
ついにユウトの初戦闘回。
果たして終焉竜の幼体は、初めての魔物討伐を無事に乗り越えられるのでしょうか?
ホーンウルフたちはゆっくりと距離を詰めてくる。
低く唸り声を上げながら。
まるで獲物を逃がさないと言わんばかりに。
「……なぁ」
「なに」
「帰っていい?」
「いいというと思ってる」
「ですよねぇ……」
ユウトは半泣きで呟く。
人生初の魔物討伐。
思っていたよりずっと命の危険を感じていた。
だが。
ホーンウルフたちは待ってくれない。
一匹が地面を蹴った。
「来たっ!?」
灰色の影が一直線に飛びかかってくる。
速い。
思ったより速い。
ユウトは慌てて腕を上げた。
ガブッ!
「いっっっっ!?」
鋭い牙が腕に食い込む。
痛い。めちゃくちゃ痛い。
「噛まれたぁぁぁ!?」
思わず叫びながら後ろへ飛び退く。
腕を見る。
服は破れている。
血も少し出ている。
「痛ぇ……」
すると。
シエルが不思議そうな顔をしていた。
「なに?」
「その程度なのね」
「え?」
「普通の人間なら腕が裂けてるわ」
「え?」
ユウトは自分の腕を見る。
言われてみれば。
痛い。
だが致命傷ではない。
「……あれ?」
その時だった。
再びホーンウルフが飛びかかってくる。
「うわっ!?」
反射的に拳を振るった。
ドゴォッ!!
鈍い音が響く。
ホーンウルフの身体が吹き飛んだ。
数メートル先の木へ激突する。
そして。
動かなくなった。
「…………」
「…………」
「あれ? ん? えっ?」
ユウトが自分のこぶしを見つめる。
「まずは1匹討伐できたわね」
シエルが平然と言った。
「えぇぇぇぇ!?」
ユウトは目を見開く。
思っていたより。
ずっと強く殴ってしまったらしい。
◇
だが。
ホーンウルフは一匹ではない。
群れだ。
残りのホーンウルフたちが一斉に襲いかかってくる。
「ちょっ!?」
右。
左。
前。
次々と飛びかかってくる牙。
ユウトは必死に避けた。
避けて。
避けて。
避けきれずに噛まれる。
「痛っ!」
殴る。
吹き飛ぶ。
「えっ!?」
また殴る。
吹き飛ぶ。
「えっ!?」
さらに殴る。
吹き飛ぶ。
「なんで!?」
本人が一番驚いていた。
◇
数分後。
森の中には大量のホーンウルフが転がっていた。
ユウトは肩で息をしている。
「はぁ……はぁ……」
疲れた。
怖かった。
死ぬかと思った。
でも。
「勝った……?」
「勝ったわね」
シエルが頷く。
すると。
頭の中で声が響いた。
《レベルアップしました》
「おっ?」
ユウトが固まる。
《Lv19》
「おぉぉぉ!」
思わず声を上げた。
「どうしたの?」
シエルが首を傾げる。
「レベル上がった!」
「?」
「レベル!」
「だから?」
「いや、レベルだって!」
「だから何?」
「え?」
シエルは本気で意味が分からない顔をしていた。
ユウトも固まる。
「……見えないの?」
「何が?」
「レベル」
「だから何それ」
沈黙。
ユウトの額に汗が流れる。
「……あれ?」
もしかして。
もしかすると。
レベルが見えるのは――
自分だけなのか?
そんな疑問が頭をよぎった。
第十六話を読んでいただきありがとうございました!
ユウト、初めての魔物討伐でした。
本人はかなり必死でしたが、どうやら自分で思っているよりは頑丈で力もあるようです。
そして最後に飛び出した「レベル」問題。
どうやらシエルには見えていないようですが……?
次回もお楽しみいただければ幸いです!
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