第百三十五話 白銀龍の族長
ついに白銀龍の里の族長のグレンと対面するユウト達。
静かに語られる言葉が、新たな真実への扉を開いていきます。
リシアに案内され、ユウト達は里の奥へと歩いていた。
家々は次第に少なくなり、代わりに大きな木々が立ち並ぶ。
その一本一本が空へ届くほど高く、幹は白銀色に輝いていた。
◇
「すごい木っすね……」
シアが見上げる。
「ああ。何百年……いや、何千年生きてるのかも分からないな。」
風が吹くたび、銀色の葉が舞い落ちる。
その光景は、まるで雪が降っているかのようだった。
◇
やがて、一際大きな木の前でリシアが立ち止まる。
「こちらです。」
その大樹は、建物ではなかった。
幹そのものが住まいとなっている。
自然と共に生きる。これが白銀龍の文化なのだろう。
◇
「どうぞ。」
扉を開けると中は驚くほど広かった。
木の香りが漂い、窓から差し込む柔らかな光が室内を包んでいる。
壁には古い壁画が描かれ、その中心には翼を広げた白銀龍の姿があった。
◇
「グレン様、お連れいたしました。」
部屋の奥で一人の老人が静かに立ち上がる。
◇
長い銀髪。
深く刻まれた皺。
その瞳だけは、澄み切った空のように美しかった。
◇
「遠路、よく参られた。」
穏やかな声だった。
だがその一言だけで部屋の空気が変わる。
ユウトは思わず息を呑んだ。
◇
(強い……)
◇
魔力を放っているわけではない。
威圧しているわけでもない。
◇
それでもこの老人が、とてつもない存在であることだけは本能で理解できた。
グレンは静かに微笑む。
「まずは礼を言わせてほしい。巫女を守ってくれたこと。」
「……!?」
ユウトは腕を組み考えた。
「助けられたことはあっても、助けたことはあったかな?」
グレンは小さく笑みを浮かべる。
「そう思っておるのか。」
その優しい声には、どこか嬉しさが滲んでいた。
「ならば――」
グレンはゆっくりと椅子へ腰を下ろす。
「まずは、巫女がこの里でどのような存在なのか。そこから話そう。」
ユウトは思わず息を呑む。
ようやくすべてが繋がろうとしていた。
第百三十五話をお読みいただきありがとうございました!
今回は白銀龍の里の族長がついに登場しました。
穏やかな雰囲気の中にも、長い年月を生きてきた者だけが持つ重みを感じていただけていたら嬉しいです。
そして次回はいよいよ、巫女様と呼ばれるシエルの立場や、この里に秘められた物語が語られていきます。
ここから第二章の核心へと近づいていきますので、引き続きよろしくお願いいたします!
それではまた次回!




