第百三十六話 巫女の使命
白銀龍の里で語られる、巫女に課せられた宿命。
そして、その先には物語の根幹へと繋がる真実が待っていました。
グレンは静かに席へ腰を下ろした。
窓の外では銀色の葉が風に揺れ、柔らかな光が部屋へ差し込んでいる。
◇
「まず知ってほしい。」
グレンはゆっくりと口を開いた。
「この里の巫女とは、ただの役職ではない。白銀龍が代々受け継いできた、大切な使命じゃ。」
「使命……?」
ユウトが聞き返す。
「世界には目には見えぬ穢れが存在する。それは長い年月をかけて積み重なり、やがて災厄となる。」
ユウトの脳裏に黒い霧が浮かぶ。
「あれもその一つってわけか……」
グレンは静かに頷いた。
「あの穢れを浄化できるのは、巫女だけ。」
「だからこそ里は命を懸けて巫女を守る。」
◇
部屋が静まり返る。
◇
ユウトはあの日を思い出していた。
黒い霧の中へ迷いなく飛び込んだシエル。
苦しみながらも笑っていたシエル。
◇
「そんな危険なこと……」
思わず呟く。
グレンは少しだけ寂しそうに微笑んだ。
「本人は使命じゃと言って聞かぬ。昔から、あの子はそういう子じゃ。」
その口調にはグレンとしてではなく、一人の祖父のような優しさが滲んでいた。
「主……」
シアも少し俯く。
「だけど。」
ユウトは静かに顔を上げる。
「それがどうして俺たちを置いて一人で出ていったのかの説明にはなってないな」
グレンは答えなかった。
しばし重い沈黙が事の重大さを語っていた。
◇
「……その話をするには、まず一つ知ってもらわねばならぬことがある。」
長い沈黙を破るようにグレンが語り始めた。
「終焉竜について、じゃ。」
◇
窓の外では一枚の銀色の葉が風に乗り、静かに舞っていた。
第百三十六話をお読みいただきありがとうございました!
今回は巫女という存在に込められた使命の一端を描きました。
これまでの出来事が少しずつ繋がり始め、物語も新たな局面へと進んでいきます。
そして次回、久しぶりに「あの存在」が物語の中心へ。
第二章の核心へと踏み込んでいきますので、ぜひお付き合いください!
それではまた次回!




