第百三十四話 白銀の巫女
ついに辿り着いた白銀龍の里。
そこでユウト達を待っていたのは、美しい景色と、どこか張り詰めた空気でした。
白銀の羽を見つめた女性は、小さく息を呑んだ。
「その羽は……巫女様の」
◇
周囲が静まり返る。
◇
「巫女様?」
ユウトは思わず聞き返した。
女性は我に返ったように姿勢を正す。
「申し遅れました。私はリシアと申します。」
「この里で皆様のお世話を任されております。」
深々と頭を下げる。
その所作は美しく、どこか気品を感じさせた。
◇
「俺はユウト。」
「こっちはシア。」
◇
「よろしくっす!」
◇
リシアは優しく微笑む。
だが、その笑顔はどこか無理をしているようにも見えた。
「巫女様は……」
そこまで言いかけると、リシアは言葉を飲み込んだ。
周囲の住人達も皆、同じ表情だった。
安心と不安が入り混じったような顔。
「何かあったんですか?」
ユウトが尋ねる。
リシアは静かに目を伏せる。
「……族長様がお待ちです。まずはこちらへ。」
答えは返ってこなかった。
リシアの後について歩き始める。
◇
里の中はどこまでも美しかった。
庭先では白い花が咲き誇り、小川には透き通る魚が泳いでいる。
里の人達は皆、穏やかな笑顔で暮らしていた。
しかしユウト達を見るたび、その表情が曇る。
◇
「主……」
シアが小さく囁く。
「完全に歓迎されてないっすね。」
「いや。」
ユウトは首を横に振る。
「違う。あれは俺達を見てるんじゃない。」
「シエ……巫女様を心配してる顔だ。」
その言葉にリシアの足が止まる。
「……お気付きになられましたか。」
小さく微笑む。
その瞳には涙が浮かんでいた。
「巫女様は、この里にとって……誰よりも大切なお方なのです。」
「どうか。」
「どうか、巫女様をお助けください。」
「それはいったい……どういうことだ?」
リシアはゆっくりと目を閉じる。
「その答えは……族長様がお話しくださいます。」
そう言うと、再び歩き始めた。
ユウト達も無言で、その後を追うしかなかった。
第百三十四話をお読みいただきありがとうございました!
今回は白銀龍の里の人々との初めての出会いを描きました。
穏やかな景色とは対照的に、里全体を包む不安や緊張感を感じていただけていたら嬉しいです。
そして次回、いよいよ族長との対面。
巫女様と呼ばれるシエルの過去、そして白銀龍の里に隠された真実が少しずつ明らかになっていきます。
引き続き第二章をよろしくお願いいたします!
それではまた次回!




