第百三十三話 白銀龍の里
長い道のりの末、ユウト達はついに目的の地へと辿り着きます。
その先に広がるのは、人間の世界とは異なる美しく神秘的な里でした。
白銀の門をくぐる。
その瞬間空気が変わった。
◇
「……!?」
ユウトは思わず息を呑む。
門の向こうに広がっていたのは、一つの巨大な里だった。
白い石で造られた建物。
透き通る水路が里中を流れ、その水面は太陽の光を受けて宝石のように輝いている。
家々の屋根には白銀色の植物が絡みつき、風が吹くたびに葉が優しく揺れた。
◇
「すごいっす……」
シアは言葉を失う。
◇
人間の街とは違う。
騒がしさはない。
それでいて静かすぎるわけでもない。
子ども達の笑い声。
水のせせらぎ。
遠くから聞こえる鳥のさえずり。
すべてが心地よく溶け合っていた。
◇
「ここが……シエルの故郷…なのか?」
ユウトは静かに呟く。
すると近くを歩いていた白銀の髪を持つ少女が、二人に気付いて立ち止まった。
「えっ……?」
少女は目を丸くする。
「人間……?」
その声に周囲の住人達も足を止めた。
◇
「どうして人間が……」
「まさか結界を?」
「そんなはず……」
◇
ざわめきが広がる。
シアは小さくユウトの袖を掴んだ。
「歓迎ムードじゃないっすね……」
「これは…俺でもわかる。そうだろうな」
ユウトは苦笑する。
◇
その時白い羽がふわりと宙へ浮かんだ。
住人達の視線が、一斉に羽へ集まる。
「……導きの羽」
誰かが小さく呟いた。
空気が変わる。
◇
驚き。
戸惑い。
そして――
警戒。
◇
その時だった
◇
「何事ですか」
澄んだ女性の声が響く。
人々が左右へ道を開ける。
その先から、一人の女性がゆっくりと歩いて来た。
腰まで届く銀髪。凛とした佇まい。
シエルよりも少し年上に見える。
◇
女性はユウト達を見る。
そして白い羽を見た瞬間、その表情が大きく揺れた。
「その羽は……」
第百三十三話をお読みいただきありがとうございました!
今回はついに白銀龍の里へ到着しました。
これまでとは異なる景色や空気を楽しんでいただけていたら嬉しいです。
そして、物語はいよいよシエルの過去や白銀龍の一族へと踏み込んでいきます。
ここから第二章の核心へ向かっていきますので、引き続きよろしくお願いいたします!
それではまた次回!




