第百三十二話 白銀の里
白い羽に導かれ、ユウト達はさらに奥へ。
人の世界とは異なる景色が、少しずつその姿を現し始めます。
霧に包まれた渓谷を、ユウト達はゆっくりと歩いていた。
白い羽は、迷うことなく前を指し示している。
◇
「なんだかさっきから暖かくないっすか?」
シアが辺りを見回す。
「言われてみれば……」
山の奥深くとは思えないほど、空気は穏やかだった。
冷たい風はなく、優しい風が頬を撫でていく。
足元には白い花が咲いていた。
見たことのない花だった。
近づくと、花びらがふわりと舞い上がり、どこか懐かしい香りを残しながら小さな光となって空へ溶けていく。
「わぁー。いい香りっすぅ」
「ここも魔力で満ちてるのか」
ユウトは思わず呟く。
◇
さらに歩みを進める。
すると、透き通るような湖が姿を現した。
湖面は鏡のように静かで、空と山々を映し出している。
「綺麗っす……」
シアは思わず見入っていた。
その時、湖の向こうで大きな影が動く。
「っ!」
二人は身構える。
しかし現れたのは、一頭の白い鹿だった。
頭には美しい枝角を持ち、全身が淡く光を帯びている。
「魔物……ではなさそうだな」
白い鹿は二人を見つめると、静かに頭を下げた。
まるで歓迎するかのように。
そして森の奥へ歩き出す。
途中で一度だけ振り返った。
「……ついて来いってことか?」
「そうみたいっすね…」
白い羽も同じ方向を向いている。
「よし!行こう」
二人は白い鹿の後を追った。
◇
木々を抜けた、その先
「これは……」
霧の向こうに白銀に輝く巨大な門が姿を現した。
その門には、翼を広げた龍の紋章が刻まれている。
そして門の向こうにはまだ見えない世界が広がっていた。
第百三十二話をお読みいただきありがとうございました!
今回は迷いの山の先に広がる幻想的な景色を描いてみました。
ユウト達と一緒に、その空気や風景を少しでも感じていただけていたら嬉しいです。
そして、いよいよ白銀龍の里は目前。
ここから新たな出会いと物語が始まりますので、引き続きよろしくお願いいたします!
それではまた次回!




