第百二十六話 ラウス村
仲間を追い、ユウト達は山の麓へと辿り着きます。
そこには、小さな村に語り継がれる不思議な言い伝えがありました。
さっきのじぃさんが言うには、この村は【ラウス村】というらしい。
ユウト達は村を回っていた。
村は平和そのものだった。
子ども達が走り回り、大人達は畑や薪割りに励んでいる。
どこにでもある小さな村。
そんな印象だった。
◇
「なんか落ち着く村っすね」
シアが辺りを見回す。
「そうだな」
ユウトも頷く。
どこか懐かしい空気が流れていた。
「旅人さんか?」
今度は中年の女性が声を掛けてきた。
「はい、少し聞きたいことがあって」
ユウトは白い羽を見せる。
女性の表情が僅かに変わる。
「その羽……」
「何か知ってるんですか?」
「詳しくは知らないわ」
女性は首を横に振った。
「でも昔から、この村には言い伝えがあるの」
「山に選ばれた者だけが、奥へ進めるって」
「選ばれた者?さっきのじぃさんも似たようなこと言ってたな」
「ええ」
「山は拒む時は何度歩いても同じ場所へ戻される。」
「でも認められた人だけは、ちゃんと目的地へ辿り着けるって」
シアが白い羽を見る。
「じゃあ……その羽があるから?」
「分からないわ」
女性は苦笑する。
「この村じゃ昔話程度の話だから」
「でも、その羽を持って山へ入った人の話だけは、代々語り継がれているの」
「帰ってきた人はいるんですか?」
ユウトが尋ねる。
女性は少しだけ考えた。
「……いないわ」
「少なくとも、私が知る限りでは」
◇
静かな沈黙が流れる。
◇
「主」
シアが小さく呟く。
「怖いっすか?」
ユウトは少し笑った。
「怖いさ」
「でも、シエルが一人の方がもっと心配だ」
その答えにシアも静かに笑った。
「そっすね」
夕日が山を赤く染める。
その先にはまだ誰も知らない世界が広がっていた。
第百二十六話をお読みいただきありがとうございました!
今回は新たな舞台となる「ラウス村」が登場しました。
山にまつわる昔話や言い伝えは、これから始まる物語の小さな伏線でもあります。
そして次回は、ラウス村で一夜を過ごし、いよいよ未知なる山へと向かいます。
第二章の旅はまだ始まったばかり。
引き続きお楽しみいただけたら嬉しいです!
それではまた次回!




